蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「ただの頭痛。すぐによくなるよ」

嘘を隠すために、不自然にならないように笑ってみせる。

だけど私は器用じゃない。

作った笑顔なんてすぐに崩れてしまう。

黒崎くんに気づかれる前に、ドアを閉めなくちゃ。

「わざわざ来てくれてありがとう。また学校でね。じゃ」

せっかくお見舞いにきてくれた人に冷たい態度だってわかってる。

だけど、こうでもしないと泣いてしまいそうで......。

閉めようとしたドアが彼のつま先でひっかかり閉まらない。

「なんか隠してるだろ」

目を見開く。

「隠してなんかないよ」

「俺の目を見ろ。おまえ嘘つくとき、目を反らすだろ」

「………」

「何があったんだよ」

「黒崎くんには関係ないでしょ?何にも知らないくせにでしゃばらないで!」

叫んでから後悔した。

なんてことをいってしまったんだろう。

後悔先に立たずだ。

彼は悲しそうな表情をしている。

「そうかよ。悪かったなでしゃばって。もうなにもしないから。ごめん」

無機質な音で閉まるドア。

ひとり残された私の耳には恐ろしいほどの静寂(せいじゃく)がおそい、体の底から震えがくるようだった。

本音で会話がしたいのに、それができないもどかしさ。

それで人を傷つけてしまう、罪悪感。

私って最低だ……。