突然閉めたことに怒ってしまったかと思ったけれど、彼の声はいつも通りの柔らかい口調だった。
開けるか開けまいか。
考えあぐねていると、今度は向こうから強くドアを開けられ、ドアノブにかけたままの手が引っ張られて玄関を出た。
居所を失ったみたいに急に挙動不審になる。
「おはよ」
もう昼だと言うのに、彼はおはようと挨拶してきた。
私はどう返したらいいのかわからず、ただ頷くだけ。
「開けてって言ったのになんで開けてくんねぇんだよ」
軽く頬を膨らませた黒崎くん。
「まぁ、いきなり押し寄せたら誰だってビビるか」
そう言って私に差し出したのは、コンビニの袋。
中を覗くと、さっきわたしが見ていたファッション雑誌やお菓子、ジュースなどがはいっていた。
「……これ」
「ずっと家にいるのは暇だろ?どんな雑誌が好きかよくわからないからとりあえずそれにしてみた。持ってたらごめん」
持っていても、持っているとは言えない。
彼の優しさだから。
「あ、ありがと」
答えながら胸がジワリと暖かくなる。
と同時にきつく締め付けられた。



