「内緒にしてようと思ったけど、きっとお母さんは全部お見通しだから」
生前、お母さんはわたしの隠した気持ちをすべてのわかっていた。
亡くなった今も、きっと向こうで私の心をよんで心配しているに違いない。
「ごめんね。お母さん。うまくやるつもりだったけど、そううまくはいかないみたい。どうやったらうまくやれるのかもわからない。お母さんなら、こういうときどうする?」
秒針の音だけが聞こえる。
質問したって、答えが帰ってくるわけもないのに。
何をやっているのだろう。
とことんバカな私。
「これから、学校に行けなくなったらどうしよう。お父さんにも心配かけてしまうし......。」
お父さんに感づかれてしまう前に、どうにかしてしまわないと...。
唇を噛んで目を強く閉じたその時、玄関のインターホンが鳴った。
滲んできた涙を拭い、ドアを開ける前に目が赤くなっていないか靴箱の上に置いてある鏡を覗く。
生気の抜けたひどい様だ。
ゆっくりドアノブに手をかけドアを開けると、目の前に立っていた人物に驚いてすぐさまドアを閉めてしまった。
心臓に痛みを感じるほど鼓動が暴れる。
なんで?
どうして黒崎くんがここにいるの?
今は授業中のはず。
「古川、開けて」



