蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「セナ! 帰ってきたなら声をかけ...」

家に駆け込んで、お父さんの声を無視して2階の自分の部屋にとじこもった。

鞄を投げ捨て、制服のままベッドにた折れ込む。

涙が出た。

泣いたってどうにもならないのに。

私が欲を持たなければ、流さなくてもいい涙だったはずだ。

私はバカだ。

諦めることに覚悟のよわい大馬鹿者のだ。

卒業までこの学校ですごさなけれはいけないのに...。

今度こそ、忘れよう。

人のぬくもりを。

そして、黒崎くんの優しい笑顔を。

私は、ひとりだ。

翌日。

真衣さんたちに会うのが怖くて、転校して初めて学校を休んだ。

頭が痛いと下手な嘘をついて。

あのグループに嫌な目を向けられて過ごすよりは、ここのほうがうんといい。

お父さんが豊田さんのところに農作業に出ている間、私は仏間に向かってお母さんと向き合った。

「こんな姿、お母さん見たら不安になるよね」

言いながら涙が浮かんだけど、無理やり飲み込む。