黒崎くんは、相変わらずマイペースに登校している。
前に瀬戸くんが『親友だからって毎日一緒にいるわけじゃない』と言っていたけれど、黒崎くんがいないとき、瀬戸くんが他の人と一緒にいるわけでもない。
そういうところは、二人の間に深い友情があるのかなと思う。
居場所のない教室は地獄だ。
監視するように私を見る彼女たち。
私にだけ鋭いを目を向け、他の人が話しかければ自然と笑顔でかえす。
私の何がいけないのだろう。
私はただ、黒崎くんが好きなだけ。
彼女たちと同じ気持ちなのに。
あの人たちは許されて、どうして私は許されないのだろう。
唇を噛み締めるとからだの奥深くから大きな波が押し寄せた。
涙を我慢できそうになくて、4時限目のチャイムがなる直前に教室を走り出す。
滲んだ涙で前が見えずに走っていたら、廊下の途中で瀬戸くんにぶつかった。
「え?聖菜ちゃんどこいくの?」
私の背中に声がかかったけど、聞こえないふりをして走り続ける。
「俺もサボろうかなぁ」
呑気な瀬戸くんの言葉が聞こえた気がした。
黒崎くんに、そばにいてほしい。
いつしか、そんな気持ちを抱くようになった。
封印したはずなのに。
人を好きになること。
仲のいい友達。
そんな贅沢なこと望んだらいけないのに...。



