「なに?泣き顔を見られて心配されたいとか思ってるの?」
グループの一人が、私の胸ぐらを掴み上に少しだけ持ち上げた。
息苦しくなる。
「黒崎くんに泣き顔とか見せんなよ。私たちがやったなんて陰口したらどうなるかわかってるよね」
そう言い捨て、私を乱暴にはなす。
よろける体は支えをなくし、廊下に崩れた。
涙は止まることなく流れ続ける。
自分の気持ちを殺さないといけない。
私は自由に生きたらダメ。
結局は、前の学校も、ここの学校でも同じ。
私はどこにいっても、こういう目にあう人間だ。
従うんだ。従え。
そうしたら、もう見放してくれるかもしれないから。
平穏な日々を過ごせるかもしれないから。
静かに一日を終わらせられるなら、我慢しよう。
楽しそうに去っていく彼女たちの背中を見ながら、私は気持ちを殺した。
今朝の天気予報でいつもより早く梅雨入りしたと言っていた。
ジメジメと肌にまとわりつく湿気が、私をさらに憂鬱にさせる。



