蛍の季節に、キミはまた会いに来る


彼は一体、何を言っているんだろう。

デート...?

私、と?

何のメリットがあってそんなこと言うの?

「わ、私とデートしたって何にも楽しくないよ?」

「楽しいよ」

彼が笑った。

「楽しい」

2度言って、また笑う。

「俺が古川とデートしたいんだ。楽しいに決まってる」

この人は何を根拠にこんなことを言っているんだろう。

私とデートして楽しい?

そんなわけ......。

「日曜日、10時に駅前な」

ただ、駅前といって持ち合わせ場所になるのも、田舎ならではなのかな。

普通ならどの駅なのかとなるものだと思うけど。

私が思い当たる”駅前”は、ひとつしかない。

私はコクコクとうなずき、口をあけポカンという表情を浮かべる。

なんで、断れない?

窓から差し込む日差しよりも眩しい黒崎くんの笑顔に、ただ、釘付けになってしまった。