蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「悪い悪い!寝坊!」

家からずっと走ってきたのか、川辺に走り込んできた黒崎くんは膝に手をついて肩で息をしていた。

「いや~焦った。起きたら集合の時間だったわ」

激しく呼吸をしながら、黒崎くんは眉を寄せて苦笑した。

「去年は一番乗りだったのにな。まぁ、寝坊はおまえらしいよ」

瀬戸くんが軍手をはめた手で黒崎くんを指差し笑った。

「黒崎くん! 早くこっちきて~一緒にキレイにしよ~」

真衣さんが、言う。

黒崎くんを前にやる気が出たようだ。

そんな真衣さんを無視して、黒崎くんが私を手招きしする。

ドキリとした。

ときめいてはいけないのに、何故か制御がきかない。

「ここ。このあたりが、キレイにホタルが見えるんだ」

頷いて答えたその時、懐かしい風景がうっすらと蘇った。

見たことが、ある……?。

体の中で、少しずつ細胞がざわついていく。

幼い記憶に残る、懐かしい思い出。

同じ年くらいの女の子と、川のせせらぎを聞きながら小さな小指を絡め、また一緒にホタルを見ようと約束した、あの場所だ。

間違いないと思う。