「ごめんごめんお待たせ!」
目を閉じて深呼吸をしたその時、瀬戸くんが校門から走りながら手を振ってきた。
紺色のジャージの上下に、リュックを背負っている。
私は軽く頭を下げて瀬戸くんに答える。
「んじゃ、行こうか」
相変わらずチャラい笑顔。
人懐っこい性格は、きっと多くの女の子を勘違いさせてきたんじゃないかなって思う。
「掃除、本当は面倒臭かったんじゃない?」
「全然。どちらかというと、ちょっと楽しみにしてた」
だけど、彼のいいところは緊張せずになぜだか安心して話ができるところ。
黒崎くんとは全く違う。
なんでかな……。
黒崎くんより言っていることは適当っぽいし、みんなに同じ対応だし、いつも機嫌がいいからどれが本当の彼だかわからないのに。
一緒にいて変に気をうかがったりしなくてもいいから、きっと彼は友達が多いんだと思う。
だからと言って、油断ならないけど。
「聖菜ちゃんほんっといい子だねぇ」
隣の私を両手の人差し指でクイクイと刺してくる。
「転校してきて最初の行事が掃除だなんて普通は嫌がると思うけど」



