蛍の季節に、キミはまた会いに来る


あなたがしていれば、誰も変なことだなんて思わないんだから。

あなたがすることと、私がすることが同じじゃいけないんだ。

「人の目なんて気にしてたら、時間が勿体無くね? 俺はそう思うけど」

彼が話している間、私は一度も顔をあげなかった。

部活が終わった生徒が私たちの横を通り過ぎて行くだけで、やっぱり人目が気になったし、明日の噂が怖かったから。

絶対、みんな噂してるんだから。

「何がそんなに怖いの? 何かあった? 何かあったなら俺に……」

「あ、あの!」

私は黒崎くんの言葉を遮り、慌てて肩に下げているカバンのポケットの中からスマホを取り出した。

「私のラインのIDを教えます」

「は?」

私がラインの画面を開くと、黒崎くんは顔を前に出して眉を寄せた。

「私に何か用事があるなら、ラインで連絡ください。ラインでやりとりしましょう」

いい考えだと思った。

みんなに見られないように会話をする。

彼のことは嫌いじゃない。

彼を無視せずに周りの目を気にせず会話をするなら、これしかないじゃない。

「それは、断る」