「私、ね。昨日の夜、黒崎くんに会ったの」
ふたりの顔がグイッと前に出たのは同時だった。
「蛍の川辺があるでしょ?そこで」
「………」
私の話を必死に理解しようとしている顔だ。
「蛍の光に照らされてね、そこにね、黒崎くんが立ってた。今も、ここに……」
私が言い終わらないうちに、真衣が私の両肩を力強く掴んだ。
「聖菜!あんた、まだ引きずってんの?もう、1年だよ?それに、今年、私達受験だよ?いい加減気持ちに区切りつけないと、何も手につかなくなっちゃうよ?」
真衣の目が潤みはじめる。
「違うのっ! 本当に、ここに」
「聖菜っ!!」
私を正気に戻そうと、真衣が激しく私の肩を揺らした。
「ちょ、真衣ちゃん。ちょっと、強いって……」
瀬戸くんが、私と真衣を交互に見ながら仲裁に入る。
私からはがされた真衣は、叱られた小さな子供みたいに、廊下に視線を落とした。
「真衣ちゃんの気持ちもわかるけど、聖菜ちゃんのだって……」
哀れみの目を向ける瀬戸くんは、最後まで言葉を発しなかった。
やっぱり……。
こんな話、誰も信じるわけがない。
死んだ人間が蘇るなんて。
そんな変な話……。
だけど、いるんだよっ!
本当に、私の横にっ!!
「ここにいるんだってっ!」



