蛍の季節に、キミはまた会いに来る


聞きたかった、黒崎くんの声だ。

私は全身の力が抜けてガクッと膝をつきそうになった。

黒崎くんが支えてくれようとしたけど、やっぱり私の体をすり抜けてしまう。

悔しそうに自分の手をギュッと握る黒崎くん。

だけどすぐに、まっすぐ私を見据えた。

「……黒崎くん、会いたかった」

「ごめん……ひとりにさせて、ごめん……」

黒崎くんの声が掠れる。

「でも、なんで……」

決してあり得ない現実に戸惑い、黒崎くんを見上げた。

すると、黒崎くんは手にしていた一冊のノートを私に差し出した。

「信じられないかもしれないけど、実は、これのおかげなんだ」

それはスケッチブックのように見える。

「未練のある者だけに渡されるんだけど」

「………?」

「向こう。死後の世界っていうの?そこで渡されるものなんだ」

黒崎くんの説明はこうだった。

亡くなった後、死後の世界では、生きていた頃の想いを思い出として残せるものだけがいられる場所のようだ。

未練が残り魂をまだ手放せないものは、このノートを渡され、未練を断ち切る試練が与えられるらしい。

そしてこのノートは7ページ。

1日1ページずつ、そこに書いた願いが叶えられるということだった。