川辺には、まだ私たちの思い出が残っている気がした。
水面に映る夕陽、風に揺れる草の匂い、二人で拾った小さな石。
そこにあるのは、あの頃と全く変わらない景色なのに……。
やっぱり、あなたは、私の隣にはいないんだね。
黒崎くん……。
今年もきたよ、蛍の季節。
この川辺の清掃作業だってしっかりやったんだから。
蛍までも失いたくなくて……。
「しっかり、やったんだからね……」
涙が滲んで、詰まった声が、水面に落ちて流れていく。
嗚咽がこぼれても、川の音が消してくれる。
今の私にとって、もってこいの場所だ。
空に沈む夕陽が川面を赤く染め、草の間で小さな光が揺れる。
不規則に点滅する、優しい光。
日が沈むにつれ、その光の数が増していった。
風に吹かれるように蛍はふわふわと飛び、まるで宇宙にいるかのように煌めいてくれる。
その時、視界の隅で、何かが光った。
水面に揺れるその光は、小さく灯される蛍のものではない。
まるで蓄光塗料で塗られたようなぼんやりとしたもの。
その緑色は、私よりも15センチくらい上まであった。
大きく、だけど弱い光。
え……。
……人?
目を細めてしっかり見ると、その緑色は人の形をしているようにも見える。
人だ……。



