蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「さっきまで、一緒に歩いてたんです!」

声が裏返る。

「文化祭の買い出ししてて……」

言葉が途切れる。

胸が苦しい。

息がうまくできない。

「文化祭、一緒にやるって……」

そのまま膝から崩れ落ちた。

「やだ……」

涙が床に落ちる。

「やだっ……」

肩が震える。

黒崎くんのお母さんも、私と同じように顔を覆って崩れ落ちていた。

「ごめんなさい……私、一緒にいたのに……」

「違う!あなたのせいじゃないっ!」

「だけどっ!一緒にいたのに、私はなんともないっ!」

自分が無傷なことに吐き気がした。

私はなんともないのに、黒崎くんは……。

黒崎くんは……。

冷たい病院の廊下に、私たち3人の泣き声がこだまする。

黒崎くんはもう、目を覚さない。

私の前で笑ってくれない。

寝坊だって言って、遅れてくることもない。

川辺で約束だってしたじゃん!

もう離れないって。

ずっと一緒にいるって。

それなのに、なんでよ……。

神様……どうして……。

どうして黒崎くんを連れていくの……?

どうして黒崎くんがこんな目に……。

どんなに黒崎くんの名前を呼んでも、集中治療室から黒崎くんが出てくることはなかった。

黒崎くんは、突然私の前から……いなくなった。