第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

王国の馬車が迎えに来た。

逃げ場はなく、私はそのまま乗せられる。
ユウリとアリス、みんなが手を振ってくれた。

……寂しい。

そうして馬車は目的地へと到着した。

広い。大きい。
さすが王国だ。

「ティアナ様。よくいらっしゃいました」

紫色の髪に眼鏡。見慣れた顔に、思わず安堵する。

「レイさん……」

「お越しいただき、ありがとうございます。1ヶ月間、どうぞよろしくお願いしますね」

「は、はい……」

私はレイさんの後に続いて歩き出す。

その途中、彼が少し言いにくそうに口を開いた。

「大変申し上げにくいのですが……武器の持ち込みは禁止となっております」

視線は、腰に提げたラピスラズリの短剣へ向けられる。

「え……いやです!」

「申し訳ありません。ですが規則ですので……」

「た、大切なものなんです」

必死に訴えると、レイさんは一瞬考え込んでから静かに言った。

「では、お部屋に金庫をご用意しております。そちらでお預かりします。鍵は1ヶ月後にお返ししますので」

「……わ、わかりました」

「ありがとうございます」

レイさんは、本当に申し訳なさそうに頭を下げた。