第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない


食事を終え、ディランが淹れてくれた紅茶を口にする。
湯気がふわりと立ちのぼり、カモミールの優しい香りが鼻をくすぐった。

……美味しい。

喉を通るたび、胸の奥までじんわりと温まっていく。
その様子を、ディランは静かに、けれどどこか満足そうに見つめていた。

その視線があまりに優しくて、紅茶よりも胸が熱くなる。

「あの……あまり見られると緊張します」

「ふふ、君があまりにも綺麗だからね」

さらりと言われて、思わず俯く。

「もう……」

スッと手が伸び、髪に触れる。
指先がそっと梳くように滑り、くすぐったいのに心地いい。

「香水、つけてくれてるね」

「は、はい。勿体ないから……使おうと思いまして」

言いながらも、心臓がうるさい。
ディランはその反応を楽しむように、目を細めて微笑んだ。

「ふふ。俺と同じ香りだ。気分がいいな」

「も、もう……」

耳まで熱くなる。
ディランはその変化を見逃さず、さらに距離を詰めてくる。

「……可愛い」

囁くような声が落ちてきて、胸の奥がきゅっと締めつけられた。