第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

木のテーブルに並べられた皿やカップ。
そこに集まったのは、見慣れた顔ぶれの騎士たち。

「俺たちもお嬢様の誕生日、お祝いしたくてさ」

ロベルトが照れたように頬をかきながら言う。
大柄なのに、こういう時だけ妙に子供っぽい。

「そうです!」

「あと第2騎士団と第3騎士団の統合のお祝いもかねて!」

「それだとお嬢様の誕生日がおまけみたいになるだろ!」

「え!俺そんなつもりじゃないですよ!」

アレンが慌てて手をぶんぶん振る。
その様子に周りがどっと笑いに包まれた。

「お嬢さーん! お誕生日おめでとうございます!」

ひときわ明るい声が響く。
コーラルオレンジの髪がふわっと揺れ、レオが大きく手を振っていた。

「俺、お嬢さんにケーキ作ったんですよ! お腹空いてるでしょ?」

「うん!」

返事をすると、レオは嬉しそうに目を細め、ホールケーキを慎重に運んでくる。
白いクリームに、色とりどりの果物が宝石みたいに飾られていた。

「お嬢さんのために、俺めっちゃ張り切ったんですよ!!」

ニカッと笑うレオに頬が緩む。

「ありがとう。さすがレオ」

そういうと、ふふんと得意気に笑う。

「お嬢様、お疲れ様でした。ここなら気兼ねなく過ごせますよ」

ユウリが柔らかく微笑む。
その声に、自然と肩の力が抜けた。

「ありがとう」

見知った仲間たちに囲まれていると、胸の奥がじんわり温かくなる。

「っていうか、お嬢様来るの遅いよ。独り占めしすぎ」

テオがじとっとした目でディランを見る。

「いいだろう。少しくらい」

ディランが涼しい顔で返すと、ふたりは軽く睨み合う。
周りがまた笑いに包まれた。

「お嬢さん、準備できたよ!」

レオが蝋燭に火をつけ、ケーキをテーブルの中央に置く。
小さな炎がゆらゆら揺れて、場の空気が一瞬だけ静まった。

「じゃあ、せーの! ハッピーバースデイトゥーユー!」

レオが歌い始め、第3騎士団の面々も次々に声を合わせる。
大の大人たちが真剣に歌ってくれるのが、なんだか気恥ずかしい。

「はいっ! ふーってして!」

「ふーっと」

息を吹きかけると、炎が一斉に消え、盛大な拍手が広がった。

「あ、ありがとう」

照れくさくて、でも嬉しくて、胸が少し熱くなる。