セナと会場に戻ると。
「すごいですね」
「そうね」
視線の先では、ディランが数人の令嬢に囲まれていた。
笑顔を向けられ、言葉を交わし――まるで社交の中心に立つ王子そのものだ。
大人気だ。
ガイルの件があり、私との婚約も有耶無耶になる。
そう思っている人は多いのだろう。
……私自身も、その一人だ。
だから当然の光景のはずなのに、
胸の奥が、かすかに――ちくりと痛んだ。
(どうして、今さら)
すると背後から、落ち着いた声がかかる。
「気になさらないでくださいね」
振り返ると、そこにいたのはレイさんだった。
「殿下にその気は一切ありませんから。
視線も、気持ちも――ティアナ様だけに向いています」
「それは……どうでしょう」
思わず、そう返してしまう。
正直に言えば、私は王妃になりたくない。
責任も、立場も、覚悟も。
どれも自分には重すぎると思っている。
――だからこそ。
このままディランが痺れを切らし、
誰か別の令嬢へ目を向けてしまう可能性を、
頭のどこかで想像してしまう。
それが「正しい結末」なのかもしれないのに、
そうなったら、と考えるだけで胸がざわつく。
「あの人、一度執着すると手を離しませんよ?」
レイさんは眼鏡をくいっと上げ、淡々と言った。
「俺も、そう思います」
セナも小さく頷く。
その言葉に、ほっとしたような、
それでいて逃げ場を塞がれたような――
複雑な気持ちが胸に残った。
「すごいですね」
「そうね」
視線の先では、ディランが数人の令嬢に囲まれていた。
笑顔を向けられ、言葉を交わし――まるで社交の中心に立つ王子そのものだ。
大人気だ。
ガイルの件があり、私との婚約も有耶無耶になる。
そう思っている人は多いのだろう。
……私自身も、その一人だ。
だから当然の光景のはずなのに、
胸の奥が、かすかに――ちくりと痛んだ。
(どうして、今さら)
すると背後から、落ち着いた声がかかる。
「気になさらないでくださいね」
振り返ると、そこにいたのはレイさんだった。
「殿下にその気は一切ありませんから。
視線も、気持ちも――ティアナ様だけに向いています」
「それは……どうでしょう」
思わず、そう返してしまう。
正直に言えば、私は王妃になりたくない。
責任も、立場も、覚悟も。
どれも自分には重すぎると思っている。
――だからこそ。
このままディランが痺れを切らし、
誰か別の令嬢へ目を向けてしまう可能性を、
頭のどこかで想像してしまう。
それが「正しい結末」なのかもしれないのに、
そうなったら、と考えるだけで胸がざわつく。
「あの人、一度執着すると手を離しませんよ?」
レイさんは眼鏡をくいっと上げ、淡々と言った。
「俺も、そう思います」
セナも小さく頷く。
その言葉に、ほっとしたような、
それでいて逃げ場を塞がれたような――
複雑な気持ちが胸に残った。



