「す、す、」
思わず言葉が途切れる。
「すす?」
クスッと笑うディラン。
……なんかムカつくな、と思いつつも、頬がほんのり熱くなる自分に気づく。
「……何よ、その笑い方」
思わず口を尖らせる。
「だって、可愛いんだもん」
そう言って、ディランは少し首をかしげて笑う。
……ずるい、なんでそんな簡単に胸がキュンとするんだろう。
「……ムカつく」
つい小さくつぶやくと、ディランの笑みがさらに柔らかくなる。
「可愛いって言われて、怒るのもまた可愛い」
言葉にしながら、ディランは軽く肩をすくめる。
頬が熱くなり、思わず目を逸らす自分がいる。
すると騒がしく慌てた声が聞こえてきた。
「殿下ーー!またこちらに!」
オーウェンが駆け寄ってくる。
「今日は早いな……」
そう呟くディラン。
その後ろから、セナの姿も見えた。
「なるほど……スパイがいるようだ」
ディランの小さな笑みに、思わず顔がゆるむ。
「殿下……お嬢様に会いに来すぎです。
約束、忘れましたか?」
セナが真顔で問いかける。
私は思わず首を傾げる。
何の話?
「わかったよ、そろそろ帰るさ」
ディランはさっと返事をして、にやりと笑った。
「あ、ティアナ」
「はい」
「誕生日パーティーは、俺がエスコートする」
「拒否権は?」
「ないよ。決定事項だ」
そう言い切るディランは、颯爽とその場を去っていった。
残された私は、少しだけ胸が高鳴るのを感じながら、後ろ姿を見送った。



