「じゃあ、お願いごとして」
「お願いごと?」
「そうそう。なんでもいいよ」
一瞬、間を置いてから、
「あ、でもあいつとのことはナシね!」
……ディランのことか。
思わず、くすっと笑みがこぼれる。
「じゃあ――」
私は小さく目を閉じた。
「みんなが、幸せで楽しく過ごせますように」
静かに、そう願う。
テオは一瞬だけ驚いた顔をして、
それから、ふっと優しく笑った。
「お嬢さまらしいね。
いいよ、…吹き消して」
テオに促され、
「ふーっ」
揺れていた火が、静かに消えた。
「おめでとう」
「ありがとう」
短い言葉なのに、
胸の奥にじんわりと温かさが広がる。
「最初の一口は、お嬢さまね」
そう言って、テオはフォークを差し出す。
「あーん」
「あ、あーん……」
口に運ばれたケーキは、
ふわりとほどけるように甘かった。
「……どう?」
心配そうに、紅い瞳が揺れる。
「おいしい」
「よかった」
その一言で、テオの表情がやわらぐ。
二人でケーキを食べ終えると、
テオはそのまま芝生の上にごろんと横になった。
「ねぇー、お嬢さまも」
誘われるまま、私も隣に横になる。
空は高く、
花の香りが風に乗って流れてくる。
そっと、テオの手が伸びてきて、
私の手を握った。
驚くほど自然で、
引き寄せられるような温度。
ふと、
ディランの顔が脳裏に浮かんだ。
私は、そっと手を離そうとする。
けれど――
ゆっくりと、指が絡め直された。
力は強くないのに、
逃がすつもりがないと分かる仕草。
「……今日ぐらい、いいでしょ?」
囁く声は、甘くて、少しだけずるい。
花の香りと、光と、
テオの体温。
その全部が、胸の奥を揺らしていく。
「お願いごと?」
「そうそう。なんでもいいよ」
一瞬、間を置いてから、
「あ、でもあいつとのことはナシね!」
……ディランのことか。
思わず、くすっと笑みがこぼれる。
「じゃあ――」
私は小さく目を閉じた。
「みんなが、幸せで楽しく過ごせますように」
静かに、そう願う。
テオは一瞬だけ驚いた顔をして、
それから、ふっと優しく笑った。
「お嬢さまらしいね。
いいよ、…吹き消して」
テオに促され、
「ふーっ」
揺れていた火が、静かに消えた。
「おめでとう」
「ありがとう」
短い言葉なのに、
胸の奥にじんわりと温かさが広がる。
「最初の一口は、お嬢さまね」
そう言って、テオはフォークを差し出す。
「あーん」
「あ、あーん……」
口に運ばれたケーキは、
ふわりとほどけるように甘かった。
「……どう?」
心配そうに、紅い瞳が揺れる。
「おいしい」
「よかった」
その一言で、テオの表情がやわらぐ。
二人でケーキを食べ終えると、
テオはそのまま芝生の上にごろんと横になった。
「ねぇー、お嬢さまも」
誘われるまま、私も隣に横になる。
空は高く、
花の香りが風に乗って流れてくる。
そっと、テオの手が伸びてきて、
私の手を握った。
驚くほど自然で、
引き寄せられるような温度。
ふと、
ディランの顔が脳裏に浮かんだ。
私は、そっと手を離そうとする。
けれど――
ゆっくりと、指が絡め直された。
力は強くないのに、
逃がすつもりがないと分かる仕草。
「……今日ぐらい、いいでしょ?」
囁く声は、甘くて、少しだけずるい。
花の香りと、光と、
テオの体温。
その全部が、胸の奥を揺らしていく。



