着いた先は、花畑だった。
一面に咲く鮮やかな花が、柔らかな香りを運んでくる。
「……きれい」
テオは何も言わず、
そのままピクニックシートを広げて、籠の中身を並べ始めた。
「どうぞ、お嬢さま」
「ありがとう」
並んだお弁当を見て、思わず目を瞬かせる。
「これ、テオが作ったの?」
「そう!
レオに教わった」
「すごいね」
「はい、食べて食べて」
差し出されたサンドイッチを口に運ぶ。
「……おいしい」
「よかった」
心底ほっとしたように笑って、
テオも自分の分を頬張る。
その表情があまりに無邪気で、
胸の奥がじんわりと温かくなった。
「あのね」
「なに?」
少しだけ、声の調子が変わる。
「実は、デザートもあるんだ」
「え?」
「お嬢さま、もうすぐ誕生日でしょ?」
「そうだね」
「だからさ。
一足早く、二人きりでお祝いしたくて」
そう言って、
テオが取り出したのはシフォンケーキだった。
「さすがにクリームとかは傷んじゃうからさ」
「……そっか」
胸が、きゅっとなる。
「嬉しい」
素直にそう言うと、
テオは少し照れたように笑った。
蝋燭を立て、火を灯す。
揺れる小さな光を前にして――
「ハッピーバースデー、トゥーユー」
音程もテンポも、少し怪しい歌。
それが可笑しくて、
思わず吹き出してしまった。
「ちょ、笑わないでよ」
「だって……」
こんなふうに笑える時間が、
ただ、嬉しかった。
花の香りの中で、
私はそっと目を細める。
――こんな誕生日の始まりも、悪くないな。
一面に咲く鮮やかな花が、柔らかな香りを運んでくる。
「……きれい」
テオは何も言わず、
そのままピクニックシートを広げて、籠の中身を並べ始めた。
「どうぞ、お嬢さま」
「ありがとう」
並んだお弁当を見て、思わず目を瞬かせる。
「これ、テオが作ったの?」
「そう!
レオに教わった」
「すごいね」
「はい、食べて食べて」
差し出されたサンドイッチを口に運ぶ。
「……おいしい」
「よかった」
心底ほっとしたように笑って、
テオも自分の分を頬張る。
その表情があまりに無邪気で、
胸の奥がじんわりと温かくなった。
「あのね」
「なに?」
少しだけ、声の調子が変わる。
「実は、デザートもあるんだ」
「え?」
「お嬢さま、もうすぐ誕生日でしょ?」
「そうだね」
「だからさ。
一足早く、二人きりでお祝いしたくて」
そう言って、
テオが取り出したのはシフォンケーキだった。
「さすがにクリームとかは傷んじゃうからさ」
「……そっか」
胸が、きゅっとなる。
「嬉しい」
素直にそう言うと、
テオは少し照れたように笑った。
蝋燭を立て、火を灯す。
揺れる小さな光を前にして――
「ハッピーバースデー、トゥーユー」
音程もテンポも、少し怪しい歌。
それが可笑しくて、
思わず吹き出してしまった。
「ちょ、笑わないでよ」
「だって……」
こんなふうに笑える時間が、
ただ、嬉しかった。
花の香りの中で、
私はそっと目を細める。
――こんな誕生日の始まりも、悪くないな。



