第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

その様子を見ていた第2騎士団の団員たちも、
ためらいがちに輪へと加わってきた。

「アレン、と言ったか……」

「は、はい!」

名を呼ばれた瞬間、
アレンの肩がびくりと跳ねる。

「中々、良い動きだった」

「あ……ありがとうございます」

「第3騎士団は、新人教育もしっかりしているのだな」

その言葉に、ロベルトが胸を張る。

「ええ!」

……ついさっきまで、
向けられていたのは疑いの目だった。

それが今は、
同じ騎士としての評価に変わっている。

 

そこへ、第3騎士団のルーク団長も歩み寄ってきた。

「良い試合だったなー!」

緑色の髪が、風に揺れる。

「ルーク団長」

「セナ、強くなったな」

「はい」

短い返事。
けれどその声には、確かな自信があった。

「オリバー団長」

「ああ」

ルーク団長はにっと笑う。

「ここらで――統合だな!」

「……そうですね」

ほんの一瞬の間。
それから、二人は自然と手を差し出した。

互いの手が、しっかりと握られる。

――長年、積み重なってきた溝が、
今、確かに埋まっていくのを感じた。

それは、
貴族か、平民か。
第ニか、第三か。

そんな区別を越えて。

ラピスラズリ伯爵家の騎士団が、
本当の意味で“ひとつ”になった瞬間だった。

私はその光景を、
胸に深く刻みつける。