「ユウリ……これは、なに?」
灰がかった薄栗色の髪に、淡い灰色の瞳。
彼は、私の有能な執事だ。
「プレゼントですね」
「それは分かる。
……なによ、これ」
箱の上に、さらに箱。
積み上げられた贈り物の山を指さす。
「すべて、ディラン殿下からですね」
「はあああ……」
盛大なため息が、口から零れ落ちた。
ディラン殿下…この国の第一王子。
輝くほどの金色の髪、エメラルドの瞳。
容姿端麗、頭脳明晰。
そして私は庭園での出来事を思い出す。
『王妃になれ、なんて言わない。
俺が好きなのは、“肩書き”じゃない。』
『隣に立てる日が来るなら、その時でいい』
そう言って、ディランは微笑んだ。
――それから、キスをした。
触れた唇の感触を思い出して、
私は無意識のまま、人差し指で自分の唇に触れていた。
……は、恥ずかしい。
「愛されていますね」
ユウリは、どこか楽しげに、穏やかに微笑む。
するとコンコン、と扉が叩かれる。
「はい」
「お嬢様、お客様です」
アリスがそう告げ、一歩横に退く。
その背後から――
「やあ」
噂の人物が、何でもない顔で現れた。
「……ディラン」
「あの! このプレゼント、なんですか」
積み上げられた箱を指さすと、彼はさらりと言う。
「君へだよ」
「私の誕生日は、まだ先ですが……」
「じゃあ、前祝いということにしよう」
「……」
言葉に詰まる私をよそに、ディランは楽しそうだ。
「それで、今日はどうされたんですか?」
「君に会いに来たんだよ」
「王子は、暇なんですか」
「まさか。
オーウェンを巻くのに、かなり苦労した」
……気の毒に。
「あの、婚約の件ですが」
私が切り出した瞬間、彼は即答した。
「破棄はしないよ?」
「契約上では、もうすべて達成されています。
不要では?」
「でも、君と俺は恋人同士だろ?」
ニヤリ、と口元が歪む。
「……そうなんですか?」
想いを確かめ合ったのは事実だ。
けれど、「付き合おう」という話は――していない、はず。
「君は、案外冷たいな…
俺の想いが伝わっていないのかな」
ディランはニコニコしながら距離を詰めてくる。
灰がかった薄栗色の髪に、淡い灰色の瞳。
彼は、私の有能な執事だ。
「プレゼントですね」
「それは分かる。
……なによ、これ」
箱の上に、さらに箱。
積み上げられた贈り物の山を指さす。
「すべて、ディラン殿下からですね」
「はあああ……」
盛大なため息が、口から零れ落ちた。
ディラン殿下…この国の第一王子。
輝くほどの金色の髪、エメラルドの瞳。
容姿端麗、頭脳明晰。
そして私は庭園での出来事を思い出す。
『王妃になれ、なんて言わない。
俺が好きなのは、“肩書き”じゃない。』
『隣に立てる日が来るなら、その時でいい』
そう言って、ディランは微笑んだ。
――それから、キスをした。
触れた唇の感触を思い出して、
私は無意識のまま、人差し指で自分の唇に触れていた。
……は、恥ずかしい。
「愛されていますね」
ユウリは、どこか楽しげに、穏やかに微笑む。
するとコンコン、と扉が叩かれる。
「はい」
「お嬢様、お客様です」
アリスがそう告げ、一歩横に退く。
その背後から――
「やあ」
噂の人物が、何でもない顔で現れた。
「……ディラン」
「あの! このプレゼント、なんですか」
積み上げられた箱を指さすと、彼はさらりと言う。
「君へだよ」
「私の誕生日は、まだ先ですが……」
「じゃあ、前祝いということにしよう」
「……」
言葉に詰まる私をよそに、ディランは楽しそうだ。
「それで、今日はどうされたんですか?」
「君に会いに来たんだよ」
「王子は、暇なんですか」
「まさか。
オーウェンを巻くのに、かなり苦労した」
……気の毒に。
「あの、婚約の件ですが」
私が切り出した瞬間、彼は即答した。
「破棄はしないよ?」
「契約上では、もうすべて達成されています。
不要では?」
「でも、君と俺は恋人同士だろ?」
ニヤリ、と口元が歪む。
「……そうなんですか?」
想いを確かめ合ったのは事実だ。
けれど、「付き合おう」という話は――していない、はず。
「君は、案外冷たいな…
俺の想いが伝わっていないのかな」
ディランはニコニコしながら距離を詰めてくる。



