会場はざわついていた。
それもそのはず――原因の大半は、隣にいるこの人だ。
「いやぁ、楽しみだな」
眩しいほどの金髪が揺れるたび、周囲の視線が一斉に吸い寄せられる。
本人はまるで自覚がないのが、なおさら厄介だ。
「……あまりキラキラしたオーラを出さないでください」
「出してないよ」
「出てます。騎士団員たちが完全にオロオロしてます」
「そう?」
本気で不思議そうに首を傾げるから、ため息が出る。
――この人は、立っているだけで場を乱す自覚がない。
今回の会場は、ラピスラズリ家所有の決闘場。
身内のみの観戦とはいえ、第1騎士団員もちらほら混じっている。
公式模擬決闘。
興味を持たれない方が、むしろおかしい。
視線を闘技場へ戻す。
見慣れた赤銅色の髪の青年――アレンが姿を現した。
……あ、これは緊張してる。
肩がわずかに強張り、歩幅が一定じゃない。
表情は作っているけれど、目が落ち着かない。
新人らしい、正直な緊張が全身からにじみ出ている。
相手は第2騎士団の中でも実力者。
組み合わせとしては、決して楽ではない。
こちらをちらりと見たアレンに、軽く手を振る。
その瞬間、彼はびくりと肩を震わせ、
慌てたように深く頭を下げた。
……ああ、やっぱり。
可哀想だけど、少しだけ微笑ましい。
応援しているつもりが、余計に緊張させてしまったかもしれない。
闘技場の中央で、2人が向かい合う。
仲介人を務めるのは、第1騎士団副団長。
この場にふさわしい、重みのある人選だ。
「では、魔宝石公式模擬決闘を行う。
第一試合――
第2騎士団、クリス。
対するは、第3騎士団、アレン」
アレンの名が告げられた瞬間、
観客席のあちこちから、ひそひそとした声が漏れた。
「あいつ、まだ新人だろ?」
「第3騎士団って、他に人いないのかよ」
くすくすと、嘲るような笑い。
……なるほど。
この空気か。
私は小さく息を吸い、視線を逸らさずに闘技場を見つめる。
――だからこそ、だ。
この一戦は、
アレンにとっても、第3騎士団にとっても、
そして――私にとっても。
ただの模擬戦じゃ、終わらせない。
それもそのはず――原因の大半は、隣にいるこの人だ。
「いやぁ、楽しみだな」
眩しいほどの金髪が揺れるたび、周囲の視線が一斉に吸い寄せられる。
本人はまるで自覚がないのが、なおさら厄介だ。
「……あまりキラキラしたオーラを出さないでください」
「出してないよ」
「出てます。騎士団員たちが完全にオロオロしてます」
「そう?」
本気で不思議そうに首を傾げるから、ため息が出る。
――この人は、立っているだけで場を乱す自覚がない。
今回の会場は、ラピスラズリ家所有の決闘場。
身内のみの観戦とはいえ、第1騎士団員もちらほら混じっている。
公式模擬決闘。
興味を持たれない方が、むしろおかしい。
視線を闘技場へ戻す。
見慣れた赤銅色の髪の青年――アレンが姿を現した。
……あ、これは緊張してる。
肩がわずかに強張り、歩幅が一定じゃない。
表情は作っているけれど、目が落ち着かない。
新人らしい、正直な緊張が全身からにじみ出ている。
相手は第2騎士団の中でも実力者。
組み合わせとしては、決して楽ではない。
こちらをちらりと見たアレンに、軽く手を振る。
その瞬間、彼はびくりと肩を震わせ、
慌てたように深く頭を下げた。
……ああ、やっぱり。
可哀想だけど、少しだけ微笑ましい。
応援しているつもりが、余計に緊張させてしまったかもしれない。
闘技場の中央で、2人が向かい合う。
仲介人を務めるのは、第1騎士団副団長。
この場にふさわしい、重みのある人選だ。
「では、魔宝石公式模擬決闘を行う。
第一試合――
第2騎士団、クリス。
対するは、第3騎士団、アレン」
アレンの名が告げられた瞬間、
観客席のあちこちから、ひそひそとした声が漏れた。
「あいつ、まだ新人だろ?」
「第3騎士団って、他に人いないのかよ」
くすくすと、嘲るような笑い。
……なるほど。
この空気か。
私は小さく息を吸い、視線を逸らさずに闘技場を見つめる。
――だからこそ、だ。
この一戦は、
アレンにとっても、第3騎士団にとっても、
そして――私にとっても。
ただの模擬戦じゃ、終わらせない。



