申請して、3日。
「やあ」
低く落ち着いた声が、背後からそっと触れるように届いた。
「……ディラン」
振り返ると、彼はいつもの端正な微笑を浮かべて立っていた。
けれど、その瞳の奥には、どこか期待を含んだ光が揺れている。
「今日は、少し時間があるんだ。
よければ、お茶でもどうかな」
一瞬、胸の奥がきゅっと縮む。
言葉が喉に引っかかって、うまく出てこない。
「……」
「君は、これが欲しいはずだ」
ディランは、わざとらしくない絶妙な仕草で書類をちらりと見せた。
――魔宝剣使用による模擬決闘の許可証。
光を受けて、淡く輝く紙片。
それが、今の私にとってどれほど重要か、彼はよく知っている。
「それは……」
「俺とお茶をするだけでいい」
口元をほんの少しだけ緩め、いたずらっぽく言う。
その余裕が、腹立たしいほど絵になる。
「どうだい?」
「……喜んで」
そう答えた瞬間、ディランは満足げに目を細めた。
2人でガーデンへと歩き出す。
花々の香りをふわりと運んでくる。
けれど、隣を歩く彼の存在感のほうが、よほど強くて落ち着かない。
「あれ! 殿下ー!! いらっしゃい!」
明るい声が弾け、コーラルオレンジの髪が陽光を跳ね返すように揺れた。
駆け寄ってきたのは、黄緑色の瞳を輝かせたレオだ。
「やあ、レオ」
「デザート、どうぞ!」
レオは手際よく皿を並べていく。
ふわりと甘い香りが広がり、張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。
彼は私の専属料理人。
太陽のように明るく、元騎士団員という異色の経歴を持つ青年だ。
「相変わらず、美味しそうだね」
「ありがとうございます!」
「それより、殿下。よくいらっしゃいますよね?」
「来ては、だめかな?」
「いえ! 意外と王子様って、自由なんですね〜」
無邪気に笑うレオに、私は思わず苦笑する。
その横で、ディランは当然のように椅子を引き、私を座らせた。
「可愛い婚約者の顔が見たくてね。
本当は、毎日でも来たいくらいだ」
「やめてください」
即座に返すと、ディランは肩をすくめて笑った。
その仕草がまた自然で、慣れている感じが腹立たしい。
「レイさんとオーウェン団長が、気の毒です」
「ふふ。
2人とも優秀だから、少しくらい問題ないさ」
さらりと言い切るその余裕。
王子としての自信と、彼自身の強さが滲み出ている。
……その余裕に、私はまた小さくため息をつきたくなった。
「やあ」
低く落ち着いた声が、背後からそっと触れるように届いた。
「……ディラン」
振り返ると、彼はいつもの端正な微笑を浮かべて立っていた。
けれど、その瞳の奥には、どこか期待を含んだ光が揺れている。
「今日は、少し時間があるんだ。
よければ、お茶でもどうかな」
一瞬、胸の奥がきゅっと縮む。
言葉が喉に引っかかって、うまく出てこない。
「……」
「君は、これが欲しいはずだ」
ディランは、わざとらしくない絶妙な仕草で書類をちらりと見せた。
――魔宝剣使用による模擬決闘の許可証。
光を受けて、淡く輝く紙片。
それが、今の私にとってどれほど重要か、彼はよく知っている。
「それは……」
「俺とお茶をするだけでいい」
口元をほんの少しだけ緩め、いたずらっぽく言う。
その余裕が、腹立たしいほど絵になる。
「どうだい?」
「……喜んで」
そう答えた瞬間、ディランは満足げに目を細めた。
2人でガーデンへと歩き出す。
花々の香りをふわりと運んでくる。
けれど、隣を歩く彼の存在感のほうが、よほど強くて落ち着かない。
「あれ! 殿下ー!! いらっしゃい!」
明るい声が弾け、コーラルオレンジの髪が陽光を跳ね返すように揺れた。
駆け寄ってきたのは、黄緑色の瞳を輝かせたレオだ。
「やあ、レオ」
「デザート、どうぞ!」
レオは手際よく皿を並べていく。
ふわりと甘い香りが広がり、張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。
彼は私の専属料理人。
太陽のように明るく、元騎士団員という異色の経歴を持つ青年だ。
「相変わらず、美味しそうだね」
「ありがとうございます!」
「それより、殿下。よくいらっしゃいますよね?」
「来ては、だめかな?」
「いえ! 意外と王子様って、自由なんですね〜」
無邪気に笑うレオに、私は思わず苦笑する。
その横で、ディランは当然のように椅子を引き、私を座らせた。
「可愛い婚約者の顔が見たくてね。
本当は、毎日でも来たいくらいだ」
「やめてください」
即座に返すと、ディランは肩をすくめて笑った。
その仕草がまた自然で、慣れている感じが腹立たしい。
「レイさんとオーウェン団長が、気の毒です」
「ふふ。
2人とも優秀だから、少しくらい問題ないさ」
さらりと言い切るその余裕。
王子としての自信と、彼自身の強さが滲み出ている。
……その余裕に、私はまた小さくため息をつきたくなった。



