「……すまない」
「はああ……ほんっと最悪」
テオは睨みつけるように腕を組んだ。
「それより」
視線を逸らしつつ、ふっと口調を変える。
「ティアナになにか、頼まれてるな?」
「……まあね」
「教える気は?」
「ないよ」
「そうか」
短い沈黙。
テオは、今度は真っ直ぐこちらを見た。
「……ねぇ、殿下」
低い声。
「どっち?」
「陛下の味方か。それとも――お嬢様か」
迷いはなかった。
「ティアナの味方だ」
即答だった。
テオは一瞬だけ目を見開き、すぐに小さく笑う。
「……そう。それだけわかればいいや」
踵を返しながら、念を押すように言う。
「気をつけてくれ。ティアナから、目を離すな」
「ああ」
「当たり前」
「それよりさ」
振り返りもせず、テオは淡々と言った。
「今度、お嬢様に無理矢理なことしたら――」
一拍。
「殺すからね」
それだけ言い残し、
テオは何事もなかったかのように、しれっと夜の闇へと消えていった。
部屋に残ったのは、静寂だけだった。
俺は深く息を吐き、天井を仰ぐ。
――ティアナの味方だ。
口にした言葉が、胸の奥で反響する。
それは、ジョルジュ陛下よりも。
王位よりも。
血縁よりも。
彼女を選ぶ、という意味だ。
……簡単な覚悟じゃない。
だが、もう誤魔化さない。
「……待つさ」
誰に言うでもなく、呟く。
触れたい衝動も。
奪いたい不安も。
全部、胸の奥に押し込めて。
彼女が、自分の足でこちらを選ぶまで。
「今度は、逃げない」
そう誓って。
「はああ……ほんっと最悪」
テオは睨みつけるように腕を組んだ。
「それより」
視線を逸らしつつ、ふっと口調を変える。
「ティアナになにか、頼まれてるな?」
「……まあね」
「教える気は?」
「ないよ」
「そうか」
短い沈黙。
テオは、今度は真っ直ぐこちらを見た。
「……ねぇ、殿下」
低い声。
「どっち?」
「陛下の味方か。それとも――お嬢様か」
迷いはなかった。
「ティアナの味方だ」
即答だった。
テオは一瞬だけ目を見開き、すぐに小さく笑う。
「……そう。それだけわかればいいや」
踵を返しながら、念を押すように言う。
「気をつけてくれ。ティアナから、目を離すな」
「ああ」
「当たり前」
「それよりさ」
振り返りもせず、テオは淡々と言った。
「今度、お嬢様に無理矢理なことしたら――」
一拍。
「殺すからね」
それだけ言い残し、
テオは何事もなかったかのように、しれっと夜の闇へと消えていった。
部屋に残ったのは、静寂だけだった。
俺は深く息を吐き、天井を仰ぐ。
――ティアナの味方だ。
口にした言葉が、胸の奥で反響する。
それは、ジョルジュ陛下よりも。
王位よりも。
血縁よりも。
彼女を選ぶ、という意味だ。
……簡単な覚悟じゃない。
だが、もう誤魔化さない。
「……待つさ」
誰に言うでもなく、呟く。
触れたい衝動も。
奪いたい不安も。
全部、胸の奥に押し込めて。
彼女が、自分の足でこちらを選ぶまで。
「今度は、逃げない」
そう誓って。



