第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「試合形式は、代表者3名を出し、先に2勝した方の勝利とする」

私がそう告げると、アレンがおずおずと手を挙げた。

「質問、いいでしょうか?」

「どうぞ」

「その代表メンバーは……団長と副団長と、テオさんですか?」

第3騎士団の中で実力だけを見れば、その3人が頭ひとつ抜けている。
皆も当然そうなると思っていたのだろう。

「いやぁ。俺は出ないよ」

ルーク団長が、しれっと言った。

「え? じゃあ、誰が……?」

「セナ副団長、テオ。
 そして――アレンに出てもらいたい」

私がそう告げた瞬間。

「え、ええええ――――!?」

アレンが、素で悲鳴を上げた。

「な、なんでアレンなんですか?
 まだ新人ですよ」

彼の指導役であるロベルトが、代表して口を開く。

私は一度、皆を見渡し、ゆっくりと話し始めた。

「私はね、第3騎士団が好きよ」

その一言で、場が静まる。

「明るくて、前向きで。
 時々、少し馬鹿なこともするけれど――
 正義感が強くて、仲間同士で切磋琢磨できる。
 本当に、誇れる騎士団だと思ってる」

そして、アレンへ視線を向けた。

「第2騎士団の中には、
 今も第3騎士団を“格下”だと思っている人がいるでしょう」

「だからこそ、新人のアレンが、どこまでやれるのかを示したい」

それは挑発であり、宣言だった。

「第3騎士団は、団長や副団長だけで成り立っているわけじゃないってことを」

私はまっすぐにアレンを見る。

「どうかな、アレン。
 怖いと思うなら、無理にとは言わない」

一拍置いて。

「それでも――
 一緒に、第3騎士団の誇りを示してくれる?」

一瞬、場が静まり返った。