彼女が、甲冑の横に立てかけられていた剣を手に取り、黙々と素振りをしていたのは――
正直、面白すぎて、完全に予想外だった。
あんな状況で、
ドレスでも、宝石でもなく、
迷いなく剣を選ぶとは。
思わず、声を出して笑っていた。
あれほど自然に笑ったのは、いつ以来だろう。
だが、その直後。
胸の奥に、鈍い痛みが走った。
――窮屈な思いをさせている。
そう、はっきりと自覚したからだ。
王妃教育。
礼儀作法。
視線と評価に晒される日々。
彼女は文句ひとつ言わず、こなしている。
だが、それが「平気」だとは限らない。
そもそも――
俺は、彼女を王妃にしたいわけじゃない。
彼女自身が、それを望んでいないことも、
痛いほどわかっている。
それでも、手を離せない。
自由を奪っていると理解していながら、
それでもそばにいてほしいと願ってしまう。
……こんな男を、
彼女は、好きになってしまったのだろうか。
だけど――
それでも、そばにいたい。
それが俺のエゴだということも、わかっている。
王妃教育の授業をサボらせて、二人で抜け出した散歩。
彼女が「好きだ」と、はっきり口にしたこと。
……嬉しすぎた。
胸の奥が熱くなって、
この気持ちだけは疑いようがなかった。
夜遅く、怪しい侍女を見つけて、鎌をかけた。
まさか、それがティアナだとは思わなかった。
驚いた。
そして、妙に納得もした。
侍女の姿が、あまりにも様になっていたからだ。
レイが入ってくると察して、
わざと彼女を引き寄せ、クローゼットに隠れた。
ローゼの相手が面倒だったのも事実だ。
だが、それ以上に――
距離が、近すぎた。
吐息が触れそうで、
心臓の音がうるさくて。
触れたい衝動を、必死に抑えた。
彼女の体温がすぐそこにあるのに、
手を伸ばせば触れられる距離なのに。
正直、面白すぎて、完全に予想外だった。
あんな状況で、
ドレスでも、宝石でもなく、
迷いなく剣を選ぶとは。
思わず、声を出して笑っていた。
あれほど自然に笑ったのは、いつ以来だろう。
だが、その直後。
胸の奥に、鈍い痛みが走った。
――窮屈な思いをさせている。
そう、はっきりと自覚したからだ。
王妃教育。
礼儀作法。
視線と評価に晒される日々。
彼女は文句ひとつ言わず、こなしている。
だが、それが「平気」だとは限らない。
そもそも――
俺は、彼女を王妃にしたいわけじゃない。
彼女自身が、それを望んでいないことも、
痛いほどわかっている。
それでも、手を離せない。
自由を奪っていると理解していながら、
それでもそばにいてほしいと願ってしまう。
……こんな男を、
彼女は、好きになってしまったのだろうか。
だけど――
それでも、そばにいたい。
それが俺のエゴだということも、わかっている。
王妃教育の授業をサボらせて、二人で抜け出した散歩。
彼女が「好きだ」と、はっきり口にしたこと。
……嬉しすぎた。
胸の奥が熱くなって、
この気持ちだけは疑いようがなかった。
夜遅く、怪しい侍女を見つけて、鎌をかけた。
まさか、それがティアナだとは思わなかった。
驚いた。
そして、妙に納得もした。
侍女の姿が、あまりにも様になっていたからだ。
レイが入ってくると察して、
わざと彼女を引き寄せ、クローゼットに隠れた。
ローゼの相手が面倒だったのも事実だ。
だが、それ以上に――
距離が、近すぎた。
吐息が触れそうで、
心臓の音がうるさくて。
触れたい衝動を、必死に抑えた。
彼女の体温がすぐそこにあるのに、
手を伸ばせば触れられる距離なのに。



