社交ダンスの授業。
本当は――
彼女の手を、迷わず取るつもりだった。
何も考えず、当たり前のように。
そうすればよかった。
だが、邪魔が入った。
公爵家の娘、ローゼ。
長年、婚約者候補として教育を受けてきた存在。
上が勝手に決めたこととはいえ、無下に扱える立場ではない。
……わかっている。
わかっているからこそ、腹立たしい。
一瞬の躊躇。
その、ほんのわずかな隙を。
ティアナは、迷いなくレイの手を取った。
息が、詰まる。
自然に微笑み合い、
指先が触れ、距離が近づく。
ああ――
ずるい。
俺の知らないところで、
俺のいない場所で。
彼女は、あんなふうに笑うのか。
俺だけと踊っていないじゃないか。
その事実が、胸の奥を鈍く、強く締め付けた。
……独占したいなんて、
王としてあるまじき感情だ。
それでも。
それでも俺は――
彼女の手を取れなかった自分を、
どうしようもなく、憎んでいた。
彼女の隣に立つ資格があると、
胸を張って言えるはずなのに。
ほんの一瞬の迷いで、
彼女の手は、別の男のものになった。
その光景が、焼き付いて離れない。
(……俺は、何をしている)
嫉妬が喉を焼き、
後悔が胸を締め付け、
自己嫌悪が静かに沈んでいく。
彼女を守りたいのに。
彼女の隣にいたいのに。
肝心なときに手を伸ばせない自分が、
誰よりも許せなかった。
本当は――
彼女の手を、迷わず取るつもりだった。
何も考えず、当たり前のように。
そうすればよかった。
だが、邪魔が入った。
公爵家の娘、ローゼ。
長年、婚約者候補として教育を受けてきた存在。
上が勝手に決めたこととはいえ、無下に扱える立場ではない。
……わかっている。
わかっているからこそ、腹立たしい。
一瞬の躊躇。
その、ほんのわずかな隙を。
ティアナは、迷いなくレイの手を取った。
息が、詰まる。
自然に微笑み合い、
指先が触れ、距離が近づく。
ああ――
ずるい。
俺の知らないところで、
俺のいない場所で。
彼女は、あんなふうに笑うのか。
俺だけと踊っていないじゃないか。
その事実が、胸の奥を鈍く、強く締め付けた。
……独占したいなんて、
王としてあるまじき感情だ。
それでも。
それでも俺は――
彼女の手を取れなかった自分を、
どうしようもなく、憎んでいた。
彼女の隣に立つ資格があると、
胸を張って言えるはずなのに。
ほんの一瞬の迷いで、
彼女の手は、別の男のものになった。
その光景が、焼き付いて離れない。
(……俺は、何をしている)
嫉妬が喉を焼き、
後悔が胸を締め付け、
自己嫌悪が静かに沈んでいく。
彼女を守りたいのに。
彼女の隣にいたいのに。
肝心なときに手を伸ばせない自分が、
誰よりも許せなかった。



