そのあと、ディランは何も言わなかった。
ただ――
私の手を、離さない。
言葉はないのに、
その温度だけが、やけに重い。
やがて馬車が止まり、
私は促されるまま中へ乗せられた。
てっきり、ディランも乗るのだと思い、
無意識に席をずらす。
けれど。
「……先に帰ってくれ」
低く、抑えた声。
顔を上げると、
彼は視線を逸らしたまま続けた。
「今は……君の隣にいるのが、辛い」
胸の奥が、きゅっと縮む。
何か言い返そうとして、
でも言葉が見つからないまま。
馬車の扉が、閉じられた。
がたり、と鈍い音。
外の気配が、完全に遮断される。
……なによ、それ。
ひとり残された馬車の中で、
私は小さく息を吐いた。
守るためなのか。
逃げるためなのか。
そのどちらも混ざった不器用さが、
ひどく――ディランらしかった。
ただ――
私の手を、離さない。
言葉はないのに、
その温度だけが、やけに重い。
やがて馬車が止まり、
私は促されるまま中へ乗せられた。
てっきり、ディランも乗るのだと思い、
無意識に席をずらす。
けれど。
「……先に帰ってくれ」
低く、抑えた声。
顔を上げると、
彼は視線を逸らしたまま続けた。
「今は……君の隣にいるのが、辛い」
胸の奥が、きゅっと縮む。
何か言い返そうとして、
でも言葉が見つからないまま。
馬車の扉が、閉じられた。
がたり、と鈍い音。
外の気配が、完全に遮断される。
……なによ、それ。
ひとり残された馬車の中で、
私は小さく息を吐いた。
守るためなのか。
逃げるためなのか。
そのどちらも混ざった不器用さが、
ひどく――ディランらしかった。



