「……それなら、これだな」
アラン殿下は迷いなく一つを選び、その瞬間、今日の目的はあっさりと果たされた。
帰り道――
ふわりと風が吹き抜ける。
昼間よりも冷たく、季節が確実に進んでいるのを肌で感じた。
(少し……寒い)
気づけば、私の髪に小さな葉が絡まっている。
「少し冷えるな……」
そう呟いたアラン殿下が、私の方へ手を伸ばした。
――髪についた葉を取ろうとしている。
そう理解したので、私はそのまま大人しくしていた。
その瞬間。
バシッ。
乾いた音が、頭上で弾けた。
「……え?」
驚いて顔を上げる。
視界に飛び込んできたのは、額に汗を滲ませたディランだった。
彼はアラン殿下の手首を、強く掴んでいる。
「兄上……」
低く抑えた声。
「勝手に、私の婚約者を連れ回すのはやめていただけますか?」
空気が、一瞬で張りつめた。
……怒ってる。
「ああ、すまなかった」
アラン殿下は素直に謝罪する。
だが――
ディランは、まだその手を離さない。
兄弟の視線が、静かにぶつかり合う。
そこにあるのは、子供じみた意地ではない。
積み重なった距離と、言葉にできない感情が火花を散らすような――
静かな、衝突だった。
アラン殿下は迷いなく一つを選び、その瞬間、今日の目的はあっさりと果たされた。
帰り道――
ふわりと風が吹き抜ける。
昼間よりも冷たく、季節が確実に進んでいるのを肌で感じた。
(少し……寒い)
気づけば、私の髪に小さな葉が絡まっている。
「少し冷えるな……」
そう呟いたアラン殿下が、私の方へ手を伸ばした。
――髪についた葉を取ろうとしている。
そう理解したので、私はそのまま大人しくしていた。
その瞬間。
バシッ。
乾いた音が、頭上で弾けた。
「……え?」
驚いて顔を上げる。
視界に飛び込んできたのは、額に汗を滲ませたディランだった。
彼はアラン殿下の手首を、強く掴んでいる。
「兄上……」
低く抑えた声。
「勝手に、私の婚約者を連れ回すのはやめていただけますか?」
空気が、一瞬で張りつめた。
……怒ってる。
「ああ、すまなかった」
アラン殿下は素直に謝罪する。
だが――
ディランは、まだその手を離さない。
兄弟の視線が、静かにぶつかり合う。
そこにあるのは、子供じみた意地ではない。
積み重なった距離と、言葉にできない感情が火花を散らすような――
静かな、衝突だった。



