――失礼なことを言ってしまっただろうか。
そう思いながら様子を窺うと、
目の前の人物は、小さくぶつぶつと呟いていた。
「……言わないと伝わらない、か」
「いや、今さらか?」
「だが、タイミングというものが……」
どうやら、一人反省会に入っているらしい。
(……兄弟そろって不器用だな)
私は気配を殺しつつ、そっと立ち上がる。
「それでは……」
一歩、後ろに下がった、その瞬間。
「待て」
低い声に、ぴたりと足が止まる。
「……はい?」
振り返ると、
アラン殿下は腕を組み、真剣な顔でこちらを見ていた。
「ちょっと、頼みがある」
その一言で、胸の奥がざわりと揺れる。
(……ろくな予感がしない)
内心でそう呟きながら、覚悟を決めて問い返す。
「……どのようなご用件でしょうか?」
アラン殿下は、ほんの少しだけ視線を伏せ、
そして決意を固めたように顔を上げた。
――さて、何を言い出すつもりですか、兄殿下。



