「まずは、礼を言っておこう。弟が世話になっているようだな」
穏やかな声。
けれどその言葉の奥に、静かな探りがある。
「いえ……」
形式的な挨拶のはずなのに、
次に向けられた視線は、さっきより一段深かった。
「恋仲だという話は、本当か?」
一瞬、息が詰まる。
――どう答えるべきか。
曖昧にもできる。
取り繕うこともできる。
けれど、ディランへの気持ちだけはこの人の前で嘘にしたくなかった。
「ディラン殿下のことは……お慕いしております」
短く、しかしはっきりと告げる。
「そうか」
その一言と同時に、
アラン殿下の表情がわずかに緩んだ。
ほんの一瞬。
だが確かに“兄の顔”だった。
「では、聞こう」
静かな声が落ちる。
「ディランの、どこが好きだ?」
胸の奥がきゅっと締まる。
綺麗な言葉なら、いくらでも並べられる。
王子としての資質、優しさ、責任感――
けれど、この人には取り繕いは通じない。
本音を見抜かれてしまう。
そう思った。
「……完璧な王子じゃないところです」
そう答えた瞬間。
「へぇ」
アラン殿下が、珍いものをみるように目を丸くした。
そして、興味深そうに身を乗り出す。
「それは、面白い答えだな」
先ほどまでの重苦しさが、
ほんの少しだけ和らいだ気がした。
穏やかな声。
けれどその言葉の奥に、静かな探りがある。
「いえ……」
形式的な挨拶のはずなのに、
次に向けられた視線は、さっきより一段深かった。
「恋仲だという話は、本当か?」
一瞬、息が詰まる。
――どう答えるべきか。
曖昧にもできる。
取り繕うこともできる。
けれど、ディランへの気持ちだけはこの人の前で嘘にしたくなかった。
「ディラン殿下のことは……お慕いしております」
短く、しかしはっきりと告げる。
「そうか」
その一言と同時に、
アラン殿下の表情がわずかに緩んだ。
ほんの一瞬。
だが確かに“兄の顔”だった。
「では、聞こう」
静かな声が落ちる。
「ディランの、どこが好きだ?」
胸の奥がきゅっと締まる。
綺麗な言葉なら、いくらでも並べられる。
王子としての資質、優しさ、責任感――
けれど、この人には取り繕いは通じない。
本音を見抜かれてしまう。
そう思った。
「……完璧な王子じゃないところです」
そう答えた瞬間。
「へぇ」
アラン殿下が、珍いものをみるように目を丸くした。
そして、興味深そうに身を乗り出す。
「それは、面白い答えだな」
先ほどまでの重苦しさが、
ほんの少しだけ和らいだ気がした。



