王妃教育が始まって、まもなく3週間。
ようやく3日間の休暇が与えられた。
張りつめていた空気が、ほんの少しだけ緩む。
私はアリスと並んで、静かな回廊を歩いていた。
その時だった。
――視線を感じる。
胸の奥がひやりとする。
思わず顔を上げ、そして息を呑んだ。
「初めまして。君がティアナ嬢かな?
噂はかねがね聞いているよ」
柔らかな声。
けれど、その声音とは裏腹に、視線は鋭く、こちらを値踏みするようだった。
金色の髪は丁寧に整えられ、後ろで一括りにしている。
淡い茶色の瞳は、感情を巧みに隠している。
一瞬で理解する。
――この人は、“見抜く側”の人間だ。
「初めまして。
ティアナ・ラピスラズリと申します」
背筋を伸ばし、一礼する。
相手はわずかに口角を上げた。
「私はディランの兄だ。
アラン・アレキサンドライト。よろしく」
その名を聞いた瞬間、胸の奥がざわめいた。
ディランが以前、ぽつりと話してくれた人物。
7つ年上の兄。
学問、剣、政務――
何をさせても完璧で、
本来なら王となる器を持ちながら、
ただ“瞳の色が違う”
それだけの理由で王位継承から外された人。
そして――
ディランに向かって「可哀想だ」と言った人物。
目の前のアラン殿下は、穏やかな微笑みを浮かべている。
けれどその奥にあるものは、同情か、興味か、それとも――
まだ、測りかねていた。
ようやく3日間の休暇が与えられた。
張りつめていた空気が、ほんの少しだけ緩む。
私はアリスと並んで、静かな回廊を歩いていた。
その時だった。
――視線を感じる。
胸の奥がひやりとする。
思わず顔を上げ、そして息を呑んだ。
「初めまして。君がティアナ嬢かな?
噂はかねがね聞いているよ」
柔らかな声。
けれど、その声音とは裏腹に、視線は鋭く、こちらを値踏みするようだった。
金色の髪は丁寧に整えられ、後ろで一括りにしている。
淡い茶色の瞳は、感情を巧みに隠している。
一瞬で理解する。
――この人は、“見抜く側”の人間だ。
「初めまして。
ティアナ・ラピスラズリと申します」
背筋を伸ばし、一礼する。
相手はわずかに口角を上げた。
「私はディランの兄だ。
アラン・アレキサンドライト。よろしく」
その名を聞いた瞬間、胸の奥がざわめいた。
ディランが以前、ぽつりと話してくれた人物。
7つ年上の兄。
学問、剣、政務――
何をさせても完璧で、
本来なら王となる器を持ちながら、
ただ“瞳の色が違う”
それだけの理由で王位継承から外された人。
そして――
ディランに向かって「可哀想だ」と言った人物。
目の前のアラン殿下は、穏やかな微笑みを浮かべている。
けれどその奥にあるものは、同情か、興味か、それとも――
まだ、測りかねていた。



