第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

そして私は、父――アドルフのもとを訪ねた。
昔は冷徹な人だと思っていた。
けれど最近になって、ようやく気づいた。
私は、ちゃんと大事にされているのだと。

「お父様」

「どうした」

「実は……お話というか、お願いがありまして」

「話してみなさい」

私は、第2騎士団と第3騎士団との模擬戦の件。
そして、勝利した場合に両騎士団の統合を求めたいという話をした。

父はすぐには答えず、しばらく考え込む。

――やはり、難しいだろうか。

同じ騎士団とはいえ、伯爵家当主という立場がある。
平民や市民出身の騎士を、貴族出身と同等に扱えというのは、簡単な話ではない。

そう思っていたのだが。

「……いいだろう」

「え……いいんですか!?」

拍子抜けするほど、あっさりとした返事だった。

「第3騎士団の一部の騎士たちは、今回のガイルの件で大いに貢献している」

父は淡々と続ける。

「それに、第2騎士団の中にも、
 貴族という立場に甘え、騎士道に反して怠けている者がいると聞く。
 この機会に、引き締めるのも悪くないだろう」

――この人なりに、ちゃんと見てくれていたのだ。