ガタッ。
小さな音が、やけに大きく響いた。
「……なんでしょうか?」
ローゼの声。
(まずい)
近くに置いてあった何かに、肘が当たったらしい。
その瞬間、ディランが反射的にこちらへ身を寄せてくる。
……ち、近い。
息が触れる。
心臓が、耳のすぐそばで暴れているみたいだ。
(やだ、音、絶対聞こえてる……!)
「……きっと、風でしょう」
レイさんが、淡々とした声で言う。
その直後、ほんの一瞬だけ、こちらへ視線を投げた――
ような気がした。
一秒が、異様に長い。
「もう遅いですから。お部屋までお送りしましょう」
少し間を置いて、レイさんが続ける。
「夜分に男性の部屋を訪れるのは、あまり感心できませんよ。ローゼ嬢」
「……す、すみません」
ローゼが小さく頭を下げる気配。
やがて二人分の足音が遠ざかり、扉が閉まった。
――しん。
空気が、急に軽くなる。
私は、弾かれたようにクローゼットから飛び出した。
「……あ、焦った……!」
胸に手を当てて、思わず息を吐く。
「いやー、危なかったな」
隣で、ディランが平然とした声を出す。
「……そもそも、なんでディランまで隠れるんですか?」
「ローゼ嬢が、ちょっと面倒でね」
即答。
「……へぇー」
じとっと睨むと、ディランが眉をひそめた。
「何だ、その顔は」
「いえ。別に」
小さな音が、やけに大きく響いた。
「……なんでしょうか?」
ローゼの声。
(まずい)
近くに置いてあった何かに、肘が当たったらしい。
その瞬間、ディランが反射的にこちらへ身を寄せてくる。
……ち、近い。
息が触れる。
心臓が、耳のすぐそばで暴れているみたいだ。
(やだ、音、絶対聞こえてる……!)
「……きっと、風でしょう」
レイさんが、淡々とした声で言う。
その直後、ほんの一瞬だけ、こちらへ視線を投げた――
ような気がした。
一秒が、異様に長い。
「もう遅いですから。お部屋までお送りしましょう」
少し間を置いて、レイさんが続ける。
「夜分に男性の部屋を訪れるのは、あまり感心できませんよ。ローゼ嬢」
「……す、すみません」
ローゼが小さく頭を下げる気配。
やがて二人分の足音が遠ざかり、扉が閉まった。
――しん。
空気が、急に軽くなる。
私は、弾かれたようにクローゼットから飛び出した。
「……あ、焦った……!」
胸に手を当てて、思わず息を吐く。
「いやー、危なかったな」
隣で、ディランが平然とした声を出す。
「……そもそも、なんでディランまで隠れるんですか?」
「ローゼ嬢が、ちょっと面倒でね」
即答。
「……へぇー」
じとっと睨むと、ディランが眉をひそめた。
「何だ、その顔は」
「いえ。別に」



