「――そこの侍女!」
ビクッ、と肩が跳ねた。
心臓が一拍、遅れて大きく鳴る。
「……はいっ」
できるだけ平静を装って振り返る。
「何をしているのですか」
鋭い視線、侍女長だろう。
一瞬でも気を抜けば、全部見抜かれそうだ。
「申し訳ありません。
道に迷ってしまいまして……まだ不慣れなもので」
軽く頭を下げながら、内心では必死に魔力を抑える。
さっきまで感じていた、あの嫌な共鳴を、悟られてはいけない。
「……もしかして、あなたは」
来た。
「はい。婚約者候補の侍女です」
一瞬の間。
相手の視線が、私を値踏みするように動く。
「そうでしたか。
それで、どちらへ?」
「紅茶の茶葉を切らしてしまいまして」
我ながら無難。
誰もが納得する理由。
「なるほど……では、こちらです」
促され、私は一歩、また一歩とその場を離れる。
背中に、あの部屋の気配を感じながら。
――くっ。
振り返りたいのを必死で堪え、
何事もなかったかのように歩き続ける。
ちゃんと調べられなかった。
けれど――
(……絶対、ここだ)
そう確信したまま、
その場を後にした。
ビクッ、と肩が跳ねた。
心臓が一拍、遅れて大きく鳴る。
「……はいっ」
できるだけ平静を装って振り返る。
「何をしているのですか」
鋭い視線、侍女長だろう。
一瞬でも気を抜けば、全部見抜かれそうだ。
「申し訳ありません。
道に迷ってしまいまして……まだ不慣れなもので」
軽く頭を下げながら、内心では必死に魔力を抑える。
さっきまで感じていた、あの嫌な共鳴を、悟られてはいけない。
「……もしかして、あなたは」
来た。
「はい。婚約者候補の侍女です」
一瞬の間。
相手の視線が、私を値踏みするように動く。
「そうでしたか。
それで、どちらへ?」
「紅茶の茶葉を切らしてしまいまして」
我ながら無難。
誰もが納得する理由。
「なるほど……では、こちらです」
促され、私は一歩、また一歩とその場を離れる。
背中に、あの部屋の気配を感じながら。
――くっ。
振り返りたいのを必死で堪え、
何事もなかったかのように歩き続ける。
ちゃんと調べられなかった。
けれど――
(……絶対、ここだ)
そう確信したまま、
その場を後にした。



