「よし!」
満足げに頷いたお嬢様は、一歩下がって私を見上げた。
「完璧」
「ありがとうございます……?」
素直に喜んでいいのか判断に困る。
「でも、さすがに私の髪色は目立つよね」
スミレ色と桃色が混ざった、存在感のある綺麗な髪を指先でつまみながら、お嬢様は腕を組む。
「うーん……ウィッグ、あったかなぁ」
言うが早いか、荷物をガサガサと漁り始めた。
「お、お嬢様!?
そんな乱暴に扱って大丈夫なんですか!?」
「だいじょーぶだいじょーぶ」
――全然大丈夫そうじゃない音がしている。
「……あった!」
ぱっと掲げられたのは、落ち着いた色のウィッグ。
「よかったぁ〜。こんなこともあろうかと、前に用意してたんだよね」
「“こんなこと”の想定範囲が広すぎませんか?」
「備えは大事」
きっぱり言い切るその姿勢だけは、妙に説得力がある。
「よしできた! 私が侍女です!」
びしっと自分を指差し、
「アリスは――お嬢様!」
「逆です!!」
反射的にツッコミが出た。
「まさか……お一人で行かれるつもりですか?」
「そうだよ?」
即答だった。
「だって、魔宝石絡みならさ。不穏な空気とか黒いモヤとか、私なら感じ取れるかもしれないでしょ?」
「それは……確かに」
反論しかけて、言葉が詰まる。
「ねっ!」
勝ち誇った笑み。完全に“してやったり”の顔だ。
「……はぁ」
私は深くため息をついた。
「分かりました。ですが、その代わり――」
「その代わり?」
「絶対に無茶はしないでください。お嬢様」
「善処する!」
……一番信用できない返事だった。
満足げに頷いたお嬢様は、一歩下がって私を見上げた。
「完璧」
「ありがとうございます……?」
素直に喜んでいいのか判断に困る。
「でも、さすがに私の髪色は目立つよね」
スミレ色と桃色が混ざった、存在感のある綺麗な髪を指先でつまみながら、お嬢様は腕を組む。
「うーん……ウィッグ、あったかなぁ」
言うが早いか、荷物をガサガサと漁り始めた。
「お、お嬢様!?
そんな乱暴に扱って大丈夫なんですか!?」
「だいじょーぶだいじょーぶ」
――全然大丈夫そうじゃない音がしている。
「……あった!」
ぱっと掲げられたのは、落ち着いた色のウィッグ。
「よかったぁ〜。こんなこともあろうかと、前に用意してたんだよね」
「“こんなこと”の想定範囲が広すぎませんか?」
「備えは大事」
きっぱり言い切るその姿勢だけは、妙に説得力がある。
「よしできた! 私が侍女です!」
びしっと自分を指差し、
「アリスは――お嬢様!」
「逆です!!」
反射的にツッコミが出た。
「まさか……お一人で行かれるつもりですか?」
「そうだよ?」
即答だった。
「だって、魔宝石絡みならさ。不穏な空気とか黒いモヤとか、私なら感じ取れるかもしれないでしょ?」
「それは……確かに」
反論しかけて、言葉が詰まる。
「ねっ!」
勝ち誇った笑み。完全に“してやったり”の顔だ。
「……はぁ」
私は深くため息をついた。
「分かりました。ですが、その代わり――」
「その代わり?」
「絶対に無茶はしないでください。お嬢様」
「善処する!」
……一番信用できない返事だった。



