お嬢様がグッと伸びをして、こちらをみつめる。
「アリス、あの件はどんな感じ?」
軽い調子で聞かれ、私は一瞬だけ言葉を選ぶ。
「……怪しい場所は、いくつかございました」
「え、ほんと?」
お嬢様は椅子ごと前のめりになった。倒れそうで怖い。
「はい。明らかに使われていないのに掃除が行き届いている部屋と、なぜかいつも閉まっている部屋です」
「よし」
秒で決断した。
「アリス」
「はい」
「脱いで」
「――はい???」
脳が処理を放棄した。
「え、えっと……ど、どこを……?」
「全部」
「全部!? なんでですか!?」
思わず三歩下がる私を、お嬢様は三歩で詰めてくる。速い。
「早くしないと見回り来るよ?」
「それを先に言ってください!」
心臓が忙しい。色んな意味で。
「だって、私が行くと目立つでしょ? だから入れ替わるの」
「あ……潜入、ですか」
「そ。変装。アリスの服、借りるね」
「最初からそう言ってください……!」
ぶつぶつ言いながらも、私は観念して服に手をかける。
そこからは戦場だった。
「ちょ、そこ逆! 袖が前に来てる!」
「お嬢様こそ動かないでください! ボタン外れます!」
「えー、きつい〜」
「文句言わない!」
ばたばたと結び目を解き、着せ、直し、また直し。
ようやく鏡の前に立つと、そこには――
「……まさかまたこんな事をすることになるとは……」
「えー、前回ノリノリだったじゃん!」
「あの時と今では状況が全然違いますから!」
楽しそうに笑うお嬢様に、私は深いため息をついた。
「アリス、あの件はどんな感じ?」
軽い調子で聞かれ、私は一瞬だけ言葉を選ぶ。
「……怪しい場所は、いくつかございました」
「え、ほんと?」
お嬢様は椅子ごと前のめりになった。倒れそうで怖い。
「はい。明らかに使われていないのに掃除が行き届いている部屋と、なぜかいつも閉まっている部屋です」
「よし」
秒で決断した。
「アリス」
「はい」
「脱いで」
「――はい???」
脳が処理を放棄した。
「え、えっと……ど、どこを……?」
「全部」
「全部!? なんでですか!?」
思わず三歩下がる私を、お嬢様は三歩で詰めてくる。速い。
「早くしないと見回り来るよ?」
「それを先に言ってください!」
心臓が忙しい。色んな意味で。
「だって、私が行くと目立つでしょ? だから入れ替わるの」
「あ……潜入、ですか」
「そ。変装。アリスの服、借りるね」
「最初からそう言ってください……!」
ぶつぶつ言いながらも、私は観念して服に手をかける。
そこからは戦場だった。
「ちょ、そこ逆! 袖が前に来てる!」
「お嬢様こそ動かないでください! ボタン外れます!」
「えー、きつい〜」
「文句言わない!」
ばたばたと結び目を解き、着せ、直し、また直し。
ようやく鏡の前に立つと、そこには――
「……まさかまたこんな事をすることになるとは……」
「えー、前回ノリノリだったじゃん!」
「あの時と今では状況が全然違いますから!」
楽しそうに笑うお嬢様に、私は深いため息をついた。



