それから私は、お嬢様の侍女として、ずっとそばにいた。
お嬢様はいつも前を向いていた。
頑張り屋で、人のために傷つくことを厭わない人だった。
昔、どうしてそんなに頑張れるのですか、と尋ねたことがある。
そう聞くと、お嬢様は首を振って笑った。
「違うよ。全部、自分のため。
私、計算高くて、けっこう悪役っぽいよ?」
そう言って笑うお嬢様は、悪役というにはあまりにも可愛らしかった。
◇
「ねぇ、アリス」
その声に、私はふと回想から引き戻される。
「はい。お嬢様」
いつも通りに姿勢を正す。
「何か考え事してた?」
「お嬢様との出会いを思い出していました」
お嬢様はきょとんと目を丸くした。
「懐かしいね。……もしかして、私の侍女になったこと、後悔してる?」
少しだけ不安そうに、こちらをうかがう。
「まさか。……まあ、でも穏やかとは、ほど遠い場所に来てしまいましたね」
「はは、それはごめんって」
「いえ」
「でも、いつもありがとう。私が立っていられるのもさ、アリスのおかげなんだから」
少し照れたように言うその声に、胸が温かくなる。
「お嬢様はお強いですよ。私がいなくても、きっと立って歩いていってしまいます」
「そう?」
「ええ。だけど――そうはさせません」
お嬢様が瞬きをする。
「貴女が立つなら、私も立ちます」
「……ふふ、頼もしい」
お嬢様は嬉しそうに笑った。その笑顔を見るだけで、私はまた強くなれる気がした。
お嬢様はいつも前を向いていた。
頑張り屋で、人のために傷つくことを厭わない人だった。
昔、どうしてそんなに頑張れるのですか、と尋ねたことがある。
そう聞くと、お嬢様は首を振って笑った。
「違うよ。全部、自分のため。
私、計算高くて、けっこう悪役っぽいよ?」
そう言って笑うお嬢様は、悪役というにはあまりにも可愛らしかった。
◇
「ねぇ、アリス」
その声に、私はふと回想から引き戻される。
「はい。お嬢様」
いつも通りに姿勢を正す。
「何か考え事してた?」
「お嬢様との出会いを思い出していました」
お嬢様はきょとんと目を丸くした。
「懐かしいね。……もしかして、私の侍女になったこと、後悔してる?」
少しだけ不安そうに、こちらをうかがう。
「まさか。……まあ、でも穏やかとは、ほど遠い場所に来てしまいましたね」
「はは、それはごめんって」
「いえ」
「でも、いつもありがとう。私が立っていられるのもさ、アリスのおかげなんだから」
少し照れたように言うその声に、胸が温かくなる。
「お嬢様はお強いですよ。私がいなくても、きっと立って歩いていってしまいます」
「そう?」
「ええ。だけど――そうはさせません」
お嬢様が瞬きをする。
「貴女が立つなら、私も立ちます」
「……ふふ、頼もしい」
お嬢様は嬉しそうに笑った。その笑顔を見るだけで、私はまた強くなれる気がした。



