そして私は、
気づけばティアナ様の侍女になっていた。
特別な契約があったわけでもない。
劇的な出来事があったわけでもない。
ただ、
自然にそこに立っていた。
——後から聞いた話だ。
ある日のこと。
何気ない雑談の中で、ふと思い出したようにお嬢様が言った。
「研修でさ、伯爵家に侍女として来てた時期、あったでしょ?」
「はい」
「あの頃からね」
一拍置いて、
こちらを見る。
「目、つけてたの」
「……え?」
思わず聞き返すと、
お嬢様はニヤリと笑った。
年相応とは言いがたい、
妙に大人びた笑み。
「良い仕事するなぁーって」
軽い調子なのに、
背中に、ぞくりとしたものが走る。
——あの頃から?
まだ12歳だったはずだ。
なのに、そんな“選別”を。
「それにね」
お嬢様は、
少し声を落とした。
「アリスはさ、剣っていうより……」
一瞬、言葉を探すように間を置いてから。
「銃の方がいいよ」
「……銃、ですか?」
思わず目を見開く。
「うん」
当然のことのように、頷く。
「小型魔導拳銃」
さらりと告げられる単語に、
言葉を失う。
「魔力だけを断ち切る、封魔弾」
——封魔弾。
人の肉体ではなく、
魔力そのものを封じる弾。
「だからさ」
少しだけ、声が柔らぐ。
「人を、傷つけないでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間。
胸の奥が、
ひどく静かになった。
父が望んだ“騎士”でもなく、
宝石が与えた“力”でもなく。
——この方は、
私の「望まなかった未来」まで見えていた。
ぞっとするほど、優しくて。
同時に、底知れなく恐ろしい。
この人は、
最初から——
私の行き先を決めていたのだ。
気づけばティアナ様の侍女になっていた。
特別な契約があったわけでもない。
劇的な出来事があったわけでもない。
ただ、
自然にそこに立っていた。
——後から聞いた話だ。
ある日のこと。
何気ない雑談の中で、ふと思い出したようにお嬢様が言った。
「研修でさ、伯爵家に侍女として来てた時期、あったでしょ?」
「はい」
「あの頃からね」
一拍置いて、
こちらを見る。
「目、つけてたの」
「……え?」
思わず聞き返すと、
お嬢様はニヤリと笑った。
年相応とは言いがたい、
妙に大人びた笑み。
「良い仕事するなぁーって」
軽い調子なのに、
背中に、ぞくりとしたものが走る。
——あの頃から?
まだ12歳だったはずだ。
なのに、そんな“選別”を。
「それにね」
お嬢様は、
少し声を落とした。
「アリスはさ、剣っていうより……」
一瞬、言葉を探すように間を置いてから。
「銃の方がいいよ」
「……銃、ですか?」
思わず目を見開く。
「うん」
当然のことのように、頷く。
「小型魔導拳銃」
さらりと告げられる単語に、
言葉を失う。
「魔力だけを断ち切る、封魔弾」
——封魔弾。
人の肉体ではなく、
魔力そのものを封じる弾。
「だからさ」
少しだけ、声が柔らぐ。
「人を、傷つけないでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間。
胸の奥が、
ひどく静かになった。
父が望んだ“騎士”でもなく、
宝石が与えた“力”でもなく。
——この方は、
私の「望まなかった未来」まで見えていた。
ぞっとするほど、優しくて。
同時に、底知れなく恐ろしい。
この人は、
最初から——
私の行き先を決めていたのだ。



