第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

軽く日程を決めたあと、
今度はルーク団長も引き連れて、第2騎士団を訪れた。

「お嬢様、こんにちは。
 お身体は、もう大丈夫ですか?」

声をかけてきたのはオリバー団長。
大柄な体格に似合わず、気遣いの細やかな人だ。

ガイルの件で共鳴を使った私は、丸5日も高熱で寝込んでいた。
そのことを気にしてくれているのだろう。

「もう平気ですよ」

「それなら良かったです」

ほっとしたように表情を緩めたあと、
彼は空気を引き締めるように姿勢を正した。

「……ところで、今日は例の件、ですね」

「ええ。
 話を進めたかったのだけれど、色々あって遅くなってしまって」

「私個人としては――模擬戦についても賛成ですし、
 第2騎士団と第3騎士団の統合も、前向きに考えています」

そう前置きしてから、オリバー団長は慎重に言葉を選ぶ。

「ただ……それを簡単には納得しない者もいまして」

条件として――

「こちらが勝った場合、
 それに見合う“何か”は、ご用意いただけるのでしょうか?」

その言葉と同時に、オリバー団長の視線が一瞬だけルーク団長へ向く。

隣ではエリック副団長が腕を組み、無言のまま成り行きを見守っていた。
その沈黙は、反対ではなく“判断を委ねている”静かな重さを持っている。