ディランが、私の背中をトントンと叩く。
まるで子供をあやすみたいに、一定のリズムで。
その優しい音に、胸の奥のこわばりが少しずつほどけていく。
「……ディラン」
「ん?」
「……好きです」
言った瞬間、
背中を叩くリズムが、ぴたりと止まった。
「……」
沈黙が落ちる。
彼の呼吸が、ほんの少しだけ乱れる。
「……なにか、言ってください」
恥ずかしさをごまかすように、弱く笑う。
「……いや」
ディランの声が、いつもより低く、深い。
「驚いて……それから」
一拍置いて。
「すごく、嬉しい」
その一言だけで、胸がぎゅっと熱くなる。
息がうまく吸えないほどに。
次の瞬間。
ディランの手が、ためらいがちに私の頬へと移動した。
指先が、そっと輪郭をなぞる。
「……ティアナ」
名前を呼ぶ声が、いつもより低くて、やわらかい。
「そんな顔で言われたら……離したくなくなるだろう」
ディランがさらに抱き寄せる。
「好きだよ」
耳元で落とされたその声は、
反則みたいに甘くて、息が止まりそうになる。
「君が思っているより、ずっと」
胸の鼓動が、彼の胸に触れて伝わってしまいそうで、
恥ずかしいのに、離れたくなかった。
「……もう少しだけ、いいですか?」
小さく尋ねると、
ディランは笑って、私の頭をそっと撫でた。
「うん。いくらでも」
その言葉に、胸の奥がじんわり溶けていく。
このまま、
この距離のまま、
時間が止まってしまえばいいのに。
心の底から、そう願った。



