ディランと、静かに手を繋いで歩く。
……言うべきだろうか。
あの視線の違和感。
胸に引っかかる、言葉にできない不安。
——いや、まだだめだ。
確証もない、ただの主観を伝えるべきじゃない。
「……怖い人だろう」
不意に、ディランが口を開いた。
「あの人は……」
「……そうですね」
「昔、あの人の前に立つと、
ひどく震えたよ」
苦笑するような声。
「必死に、隠していたけどね」
「……そうなんですか?」
「ああ」
少し間があって、
「ディランにも、怖いものがあるのですね」
「そりゃあ、あるさ」
軽く言ったあと、
ふっと声が落ちる。
「……でも、今一番怖いのは」
足を止める。
「君が、俺のそばからいなくなることだ」
そっと、頬に触れる。
あたたかくて、
優しくて——
逃げ場のない温度。
「……ディラン」
「さて」
名残を断ち切るように、彼は微笑んだ。
「散歩の時間は終わりだ」
「……はい」
部屋の前まで送ってくれて、
一歩、距離が空く。
「じゃあまたね」
その瞬間。
名残惜しさに、
気づけば——
私は、ディランの服の裾を掴んでいた。
……言うべきだろうか。
あの視線の違和感。
胸に引っかかる、言葉にできない不安。
——いや、まだだめだ。
確証もない、ただの主観を伝えるべきじゃない。
「……怖い人だろう」
不意に、ディランが口を開いた。
「あの人は……」
「……そうですね」
「昔、あの人の前に立つと、
ひどく震えたよ」
苦笑するような声。
「必死に、隠していたけどね」
「……そうなんですか?」
「ああ」
少し間があって、
「ディランにも、怖いものがあるのですね」
「そりゃあ、あるさ」
軽く言ったあと、
ふっと声が落ちる。
「……でも、今一番怖いのは」
足を止める。
「君が、俺のそばからいなくなることだ」
そっと、頬に触れる。
あたたかくて、
優しくて——
逃げ場のない温度。
「……ディラン」
「さて」
名残を断ち切るように、彼は微笑んだ。
「散歩の時間は終わりだ」
「……はい」
部屋の前まで送ってくれて、
一歩、距離が空く。
「じゃあまたね」
その瞬間。
名残惜しさに、
気づけば——
私は、ディランの服の裾を掴んでいた。



