そして食事マナーの授業。
「背筋を伸ばしてください。
食器の音は立てないように。
——美しく」
淡々とした指導の声を聞きながら、
私はナイフとフォークを操る。
……なるほど。
ふと、ディランの言葉が脳裏をよぎった。
『ただ……食べにくいものは、少し面倒だ』
『自由に食べる、というより——
“間違えずに食べる”ことを覚えさせられた』
今なら、よくわかる。
正しく。
美しく。
失敗しないように。
——これでは、食事をしている気がしない。
授業が終わり、思わずため息が漏れた。
退屈だ。
息が詰まる。
剣が振りたい。
筋トレだけでは、どうにも物足りない。
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、
ふと、足が止まった。
甲冑の置物。
その横に——
無造作に立てかけられた、もの。
私は、じっとそれを見つめる。
……これ。
これ、いいのでは?
私は、それを誰にも見られないように部屋へ持ち帰った。
……うん。
手に馴染む。
触り心地もいい。
重さも、申し分ない。
私はテーブルの位置をずらす。
天井にも壁にも、ぶつからない。
よし。
そして、甲冑の横に立てかけられていた剣を手に取る。
振り下ろす。
——いい。
これだ。
これこれ!
久しぶりの感覚に、胸が高鳴る。
考えるのをやめ、
私はただ、無心で剣を振り続けた。
風を切る音。
腕に伝わる重み。
体の芯が、目を覚ます。
——そのせいで。
興奮していたせいで。
私は、ひとつ大事なことを忘れていた。
鍵を、閉めていなかったことに。
「背筋を伸ばしてください。
食器の音は立てないように。
——美しく」
淡々とした指導の声を聞きながら、
私はナイフとフォークを操る。
……なるほど。
ふと、ディランの言葉が脳裏をよぎった。
『ただ……食べにくいものは、少し面倒だ』
『自由に食べる、というより——
“間違えずに食べる”ことを覚えさせられた』
今なら、よくわかる。
正しく。
美しく。
失敗しないように。
——これでは、食事をしている気がしない。
授業が終わり、思わずため息が漏れた。
退屈だ。
息が詰まる。
剣が振りたい。
筋トレだけでは、どうにも物足りない。
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、
ふと、足が止まった。
甲冑の置物。
その横に——
無造作に立てかけられた、もの。
私は、じっとそれを見つめる。
……これ。
これ、いいのでは?
私は、それを誰にも見られないように部屋へ持ち帰った。
……うん。
手に馴染む。
触り心地もいい。
重さも、申し分ない。
私はテーブルの位置をずらす。
天井にも壁にも、ぶつからない。
よし。
そして、甲冑の横に立てかけられていた剣を手に取る。
振り下ろす。
——いい。
これだ。
これこれ!
久しぶりの感覚に、胸が高鳴る。
考えるのをやめ、
私はただ、無心で剣を振り続けた。
風を切る音。
腕に伝わる重み。
体の芯が、目を覚ます。
——そのせいで。
興奮していたせいで。
私は、ひとつ大事なことを忘れていた。
鍵を、閉めていなかったことに。



