「いつも前を向いてる。立ち止まっても、また歩き出せる人」
「嫌でも、怖くても、自分を奮い立たせられる人」
「お嬢様が凛と立ってると、みんな、自然と引っ張られるんだ」
テオの声は落ち着いていて、どこにも迷いがなかった。
その確信に満ちた響きが、胸の奥をじんわりと温めていく。
「だから、大丈夫だよ」
「お嬢さまの良さは、俺がちゃんとわかってる」
一拍置いて、彼は視線をそらさずに続けた。
「——俺だけじゃない。みんな、みんなわかってる」
「だから、頑張れる。最後まで」
その言葉と優しい目に、涙がにじみそうになる。
「……テオ。なんか、すごく元気出た」
「それなら、よかった」
テオはふっと笑い、少しだけ身体を寄せてくる。
距離が縮まっただけで、心臓が跳ねた。
「不安になったら、言って」
「俺が、何度だって。何百回だって」
「お嬢さまのこと、褒めてあげるから」
その声が近くて、息が触れそうで、胸が熱くなる。
満月が雲に隠れた一瞬の暗がりで、テオがそっと名前を呼んだ。
「お嬢さま…」
テオが私の手をそっと掴み、
迷いなく引き寄せた。
驚くほど自然に、腕の中へ。
「……っ」
息が詰まるほど近い。
でも、不思議と怖くなかった。
テオは静かに囁く。
「俺、待ってるからね」
「……うん」
名残を断ち切るように、テオはそっと腕を離し、立ち上がる。
「じゃあ、そろそろ行かなきゃ」
「テオ、ありがとう。来てくれて」
「うん。じゃあね」
それだけ言って、彼は闇に紛れるように音もなく降りていった。
——相変わらず、身軽だな。
でも、胸は不思議と軽かった。
元気、出た。
私は自分の頬をぱちんと叩く。
……らしくない。
ぐじぐじしてどうする。
私は私だ。
ちゃんと前を向いて、最後までやり切る。
「嫌でも、怖くても、自分を奮い立たせられる人」
「お嬢様が凛と立ってると、みんな、自然と引っ張られるんだ」
テオの声は落ち着いていて、どこにも迷いがなかった。
その確信に満ちた響きが、胸の奥をじんわりと温めていく。
「だから、大丈夫だよ」
「お嬢さまの良さは、俺がちゃんとわかってる」
一拍置いて、彼は視線をそらさずに続けた。
「——俺だけじゃない。みんな、みんなわかってる」
「だから、頑張れる。最後まで」
その言葉と優しい目に、涙がにじみそうになる。
「……テオ。なんか、すごく元気出た」
「それなら、よかった」
テオはふっと笑い、少しだけ身体を寄せてくる。
距離が縮まっただけで、心臓が跳ねた。
「不安になったら、言って」
「俺が、何度だって。何百回だって」
「お嬢さまのこと、褒めてあげるから」
その声が近くて、息が触れそうで、胸が熱くなる。
満月が雲に隠れた一瞬の暗がりで、テオがそっと名前を呼んだ。
「お嬢さま…」
テオが私の手をそっと掴み、
迷いなく引き寄せた。
驚くほど自然に、腕の中へ。
「……っ」
息が詰まるほど近い。
でも、不思議と怖くなかった。
テオは静かに囁く。
「俺、待ってるからね」
「……うん」
名残を断ち切るように、テオはそっと腕を離し、立ち上がる。
「じゃあ、そろそろ行かなきゃ」
「テオ、ありがとう。来てくれて」
「うん。じゃあね」
それだけ言って、彼は闇に紛れるように音もなく降りていった。
——相変わらず、身軽だな。
でも、胸は不思議と軽かった。
元気、出た。
私は自分の頬をぱちんと叩く。
……らしくない。
ぐじぐじしてどうする。
私は私だ。
ちゃんと前を向いて、最後までやり切る。



