ティアナside
ふと、月が見たくなった。
みんな、元気かな。
早く会いたい。——帰りたい。
窓辺へ歩き、そっと外をのぞく。
今夜は満月らしい。
そう思いながらベランダの扉を開けた、その瞬間。
声を上げかけた私の口を、
すっと、誰かの手がふさいだ。
「お嬢さま、しーっ」
慌てて、こくんと頷く。
目の前にいたのは、黒い髪に紅い瞳の人。
月明かりを背負ったその姿は、満月と重なって、息をのむほど綺麗だった。
私たちは声を潜めて、そっとしゃがみ込む。
「テオ……なんで、ここに?」
「お嬢さまに会いたくて、来ちゃった」
へにゃりと笑う。
いつもの、力の抜けた優しい笑顔。
その顔を見ただけで、胸の奥に溜まっていたものがふっとほどけていく。
気づけば、私も同じように頬がゆるんでいた。
「中、入る?」
「ううん。入ったらさすがに……まずいかな」
「だよね」
そう言って、並んでベランダに腰を下ろす。
石の冷たさが、夜の空気をそのまま伝えてくる。
テオが、そっと私の頬にふれる。
「お嬢さま、だいぶ参ってるね」
「……へへ。わかる?」
「わかるよ」
迷いのない即答だった。
「テオの顔見たらさ、なんか安心しちゃった」
「それなら、来てよかった」
月明かりの下で、テオは少し照れたように笑う。
「……バレてない、かな」
「大丈夫。おれ、気配消すの得意だから」
「確かに」
そう返すと、テオは小さく肩をすくめた。
「でも、レイには勘づかれてるかも」
「え?」
「ま、でも平気。
あの人は……見ないふりしてくれる」
その言い方が妙にしっくりきて、私は小さく息を吐いた。
ふと、月が見たくなった。
みんな、元気かな。
早く会いたい。——帰りたい。
窓辺へ歩き、そっと外をのぞく。
今夜は満月らしい。
そう思いながらベランダの扉を開けた、その瞬間。
声を上げかけた私の口を、
すっと、誰かの手がふさいだ。
「お嬢さま、しーっ」
慌てて、こくんと頷く。
目の前にいたのは、黒い髪に紅い瞳の人。
月明かりを背負ったその姿は、満月と重なって、息をのむほど綺麗だった。
私たちは声を潜めて、そっとしゃがみ込む。
「テオ……なんで、ここに?」
「お嬢さまに会いたくて、来ちゃった」
へにゃりと笑う。
いつもの、力の抜けた優しい笑顔。
その顔を見ただけで、胸の奥に溜まっていたものがふっとほどけていく。
気づけば、私も同じように頬がゆるんでいた。
「中、入る?」
「ううん。入ったらさすがに……まずいかな」
「だよね」
そう言って、並んでベランダに腰を下ろす。
石の冷たさが、夜の空気をそのまま伝えてくる。
テオが、そっと私の頬にふれる。
「お嬢さま、だいぶ参ってるね」
「……へへ。わかる?」
「わかるよ」
迷いのない即答だった。
「テオの顔見たらさ、なんか安心しちゃった」
「それなら、来てよかった」
月明かりの下で、テオは少し照れたように笑う。
「……バレてない、かな」
「大丈夫。おれ、気配消すの得意だから」
「確かに」
そう返すと、テオは小さく肩をすくめた。
「でも、レイには勘づかれてるかも」
「え?」
「ま、でも平気。
あの人は……見ないふりしてくれる」
その言い方が妙にしっくりきて、私は小さく息を吐いた。



