第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「あの……どうして、そんなに睨まれているのでしょうか」

オリバー副団長が、明らかにたじろいだ様子で問いかけた。

「今ね、お嬢様が婚約者候補から外れた場合、
その代わりとして誰が有力かって話をしてたの。政治的な意味も含めて」

ルイが、さらりと説明する。

「わ、私ですか?」

オリバー副団長が目を瞬かせる。

「前に、お見合いしてましたよね」

アレンが首を傾げた。

「無理です。俺には荷が重いですよ」

その一言が――決定打だった。

「……は?」

レオとロベルトが同時に立ち上がる。

「今の、さらっとお嬢さんを振ったってことか?」

「副団長でも、それは許せないな」

ぎり、と空気が軋む。
完全に“やる気”の連中だ。

……はあ。

俺は、そっと額を押さえた。
――今日も、胃がもたない。

「……やめろ」

低く呟く。
――本音を言えば、俺も参戦したい側なのだが。

「そうですよ。決めるのは、お嬢様です」

ユウリが落ち着いた声で言う。

「……だけど、大丈夫でしょうか。元気だといいんですがね」

その言葉に、場が静まり返った。

誰も、すぐには言葉を継げない。
皆、同じことを考えていたのだろう。