「お嬢さんが、こんなに長く屋敷にいない期間って、初めてじゃないか」
レオが、ぽつりと告げた。
「確かに、そうですね」
あの人がいない。
それだけで、屋敷は驚くほど静かで――そして、少し寂しい。
「なんか、寂しいよなー」
レオはそう言って空を見上げた。
その言葉に、誰も否定しなかった。
否定できるはずがない。
俺だって、同じことを思っている。
「それにしてもさ、ユウリちゃん。何見てるの?」
空気を和らげるように、ルイが声を上げる。
「これですか?」
「うん」
ルイが指を差す先へ、自然と視線が集まった。
「婚約者候補者たちの名簿と、その情報ですね」
ユウリの淡々とした言葉に、俺たちは思わず身を寄せて覗き込んだ。
「私、この子知ってる!」
ルイが楽しそうに指を差す。
――タンザナイト公爵家。
ローザ・タンザナイト。
「そういえば、ルイさんって公爵家の騎士をしていたことがあるんですよね?」
アレンが目を丸くする。
「そうそう。そのときに、護衛も何度かしたことあるわ」
懐かしむように笑いながら、ルイは続けた。
「昔からディラン殿下のことが大好きでね。幼い頃に“婚約者候補”として決まって、ずっとそのための教育を受けてきたの」
その言葉に、胸の奥がひくりと鳴る。
――候補者。教育。役割。
どれも、あまりに整いすぎた言葉だ。
そしてそれが、お嬢様が今いる場所なのだと、嫌でも理解させられる。
剣を振るう暇もなく、
選ばれるための時間を過ごしている――。
レオが、ぽつりと告げた。
「確かに、そうですね」
あの人がいない。
それだけで、屋敷は驚くほど静かで――そして、少し寂しい。
「なんか、寂しいよなー」
レオはそう言って空を見上げた。
その言葉に、誰も否定しなかった。
否定できるはずがない。
俺だって、同じことを思っている。
「それにしてもさ、ユウリちゃん。何見てるの?」
空気を和らげるように、ルイが声を上げる。
「これですか?」
「うん」
ルイが指を差す先へ、自然と視線が集まった。
「婚約者候補者たちの名簿と、その情報ですね」
ユウリの淡々とした言葉に、俺たちは思わず身を寄せて覗き込んだ。
「私、この子知ってる!」
ルイが楽しそうに指を差す。
――タンザナイト公爵家。
ローザ・タンザナイト。
「そういえば、ルイさんって公爵家の騎士をしていたことがあるんですよね?」
アレンが目を丸くする。
「そうそう。そのときに、護衛も何度かしたことあるわ」
懐かしむように笑いながら、ルイは続けた。
「昔からディラン殿下のことが大好きでね。幼い頃に“婚約者候補”として決まって、ずっとそのための教育を受けてきたの」
その言葉に、胸の奥がひくりと鳴る。
――候補者。教育。役割。
どれも、あまりに整いすぎた言葉だ。
そしてそれが、お嬢様が今いる場所なのだと、嫌でも理解させられる。
剣を振るう暇もなく、
選ばれるための時間を過ごしている――。



