お母さんに本当のことを聞けないまま数日が経っちゃった。
お母さんのことを疑いたくはないけど、康哉があんなウソをつく理由もないんだもん。
だって、この勾玉さえなければ狐火だって変化の術だって、康哉に負けないくらい上手にできるかもしれないってことでしょ?
ひょっとしてお母さんは、わたしに長になってほしくないからこんなものでわたしのことを縛りつけてるんじゃないか……なんてふとした瞬間に考えちゃうんだよね。
ううん! 今はそんなことを考えてる場合じゃない。
それよりも……いったいこれ、どうなっちゃってるの~⁉
『化けギツネのウワサの真相に迫る!』の記事を仕上げるために、もう一度学校中を調べて回りたいっていう紗香と一緒に、放課後の校内を歩き回っていたんだけど。
まるで、あっちこっちからキツネが湧き出てくるみたい。
空き教室の扉の隙間からこっちの様子をのぞき見してるキツネをつかまえようとしたら、その向こうの廊下の角に、ゆらりと揺れるキツネしっぽが見えるし。
とりあえず、教室の扉をしっかりと閉めて逃げ出さないようにしてから、廊下の向こうに消えたしっぽを追おうとしたら、今度はこっちに駆け出してくるキツネがいるし。
これって、みんなこの学校の生徒なの⁉
白壁先生が、『これで終わりともかぎらない』とは言ってたけど、さすがにこんなことになるなんて、思ってもみなかったよ。
人間の記憶を失った状態で、どこかに迷い出てしまったりしたら大変。
ちゃんと保護してあげないと。
でも、いったいどうしたら……。



